監督:オーレ・ボールネダル、脚本:ジュリエット・スノードン、スタイルズ・ホワイト、製作:サム・ライミ、ロバート・タパート、J・R・ヤング、撮影:ダン・ローストセン、編集:エリック・L・ビーソン、音楽:アントン・サンコー、主演:ジェフリー・ディーン・モーガン、2012年、92分、原題:The Possession
クライド(ジェフリー・ディーン・モーガン)とステファニー(キーラ・セジウィック)は、離婚しており、クライドが別の住まいに移っている。時折、まだ残してある私物を取るため、今までいた家に立ち寄っている。
ステファニーは、いま愛する別の男ブレット(グラント・ショウ)としばらく家を空けるので、クライドは、長女アンナ(マディソン・ダヴェンポート)とエミリー(ナターシャ・カリス)を預かることになる。
ドライブに出た三人は、ガレージセールに立ち寄る。そこで、エミリーは、やや大きめの箱を買う。箱には、いろいろな模様がほどこされていた。
やがて、アンナが歯を磨いていると、どこから湧いたのか、多数の蛾があたりを飛び回っていた。エミリーのへやに行くと、部屋中に蛾が飛び回っていた。
これを機に、エミリーは徐々に体調を崩すようになり、エミリー自身も、自分とは別の人格が自身を支配しているようだ、とクライドに告げる。・・・・・・
監督より、製作に回ったがサム・ライミのカラーが、よく出た作品だ。むしろ、『スペル』(2009年)の穏やかヴァージョンとでも言うべきか。
ホラーには違いないが、いわゆるスプラッター系を予想していると裏切られるが、蛾が飛んだり、喉の奥から指が出てくる、取り憑かれると目が白くなる、など、血以外のもので、悪魔を描き出している。
エクソシスト系とも言える、そう言うには、ストーリーの基軸が弱い。悪魔の住んでいるらしい箱に関する説明や悪霊の寄って来たる経路などは一切語られず、対象が少女というだけであり、少女だから、あまり追及もせず、その呪いにかかってしまっている、ということだろう。
離婚している両親も、それを深く詮索せず、結果的に、クライドは、悪魔払い師(エクソシスト)、ザデック(マティスヤフ)の世話になる。この人物の登場にしても、電話をしたクライドだが、といったふうに、突然登場するような感がある。また、悪魔払い師としては、やや若い印象だ。
ラストでは、ようやくエミリーから悪魔は追っ払われ、一旦、クライドの体内に移るが、それもエクソシストの力で外に出され、悪魔は姿を現して、這って自ら箱の中に戻ることで、一件落着する。
さらに、クライドとステファニーは、この一件を境に、元の夫婦に戻ることが暗示されて、エンディングとなる。
たまたま、「パンドラの箱」を、親の注意もなく、手に入れた少女が、興味が湧いて箱を開けたことで悪魔に取り憑かれるが、周囲の協力で悪魔払いし、離婚していた夫婦も元に戻り、親子四人の一家団欒が再現する、という話である。
突っ込みどころが多いのは、この手の映画ではよくあるからいいとしても、腹が減っているときに、パンひと切れしか食べなかったような、半端な空腹感が残る。
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