2018.07.31 14:15映画 『米』監督:今井正、企画:マキノ光雄、本田延三郎、吉野誠一、原作:脚本:八木保太郎、撮影:中尾駿一郎、編集:長沢嘉樹、美術:進藤誠吾、照明:元持秀雄、録音:岩田広一、音楽:芥川也寸志、助監督:鷹森立一、主演:江原真二郎、中村雅子、木村功、望月優子、中原ひとみ、1957年、118分、カラー。昭和32年の映画であるが、カラー作品である。 助監督の鷹森立一は後に『夜の歌謡シリーズ』を撮る監督になる。 監督には『ひめゆりの塔』(1953年)『海軍特別年少兵』(1972年)『妖婆』(1976年)など力強い作品がある。 霞ヶ浦で稲作と漁業で生計を立てる人々の営みを丁寧に描いた作品だ。 戦後十数年の農村に生きる人々の生活を誠実なリアリズムをもって描き出している。そこには農...
2018.07.30 14:45映画 『レミング』監督:ドミニク・モル、 脚本:ジル・マルシャン、ドミニク・モル、撮影:ジャン=マルク・ファブル、音楽:デヴィッド・ホイッテカー、主演:シャルロット・ゲンズブール、シャーロット・ランプリング、2005年、129分、フランス映画、原題:Lemming雰囲気は『ステイ』『隠された記憶』といったアノ手の映画。 サスペンスには違いないが、特別に恐ろしいものや恐ろしい映像が出てくるわけでもなく、日常の風景のなかに、異様なやりとりを作り出してサスペンスを醸し出している。しかしそれにしても、雰囲気で観る映画だ。ホームセキュリティの技術者であるアランはベネディクト(シャルロット・ゲンズブール)と二人の幸福な生活を送っていた。 ある晩、社長のリシャールと妻のアリス(シャー...
2018.07.28 15:35映画 『荒馬と女』監督:ジョン・ヒューストン、脚本:アーサー・ミラー、撮影:ラッセル・メティ、編集:ジョージ・トマシーニ、音楽:アレックス・ノース、主演:クラーク・ゲーブル、マリリン・モンロー、モンゴメリー・クリフト、1961年、124分、原題:The Misfits西部劇の様相だが、決して万人受けする映画ではなく、マリリン・モンローが出ているといっても、話の内容がやや哲学がかっているので、初めて観た人は狐につままれたような印象をもつであろう。 元々アーサー・ミラーという劇作家が当時妻であったマリリン・モンローのために書き下ろした作品が元になっているので、マリリンという人間を描き出したようなドラマだから、セリフにしてもなかなか一般受けしにくいところがあるためである。 し...
2018.07.28 14:28映画 『復讐するは我にあり』監督:今村昌平、原作:佐木隆三、脚本:馬場当、撮影:姫田真佐久、編集:浦岡敬一、音楽:池辺晋一郎、主演:緒形拳、小川真由美、三國連太郎、倍賞美津子、小川真由美、1979年、140分。 何回も観ている作品。長くても飽きがこず、映画としておもしろい。日本の映画らしい泥臭さ、あくの強さ、理不尽さ、滑稽味、官能、猥雑、男や女の存在感、生きていくことの生命力、…いろいろな要素が描かれている。 俳優陣の層の厚みも圧倒的で、すぐ殺されるのに殿山泰司まで出てくる。清川虹子、ミヤコ蝶々は準主役であり、絵沢萌子、白川和子などもいい味を添えている。 ある殺人犯の逃避行と、なお繰り返される殺人や詐欺を描いた物語。 冒頭、雪のちらつく山道をパトカーが登ってく...
2018.07.27 12:40映画 『宮城野』監督:山崎達璽、原作:矢代静一、脚本:酒井雅秋、撮影:瀬川龍、照明:原由巳、美術:池谷仙克、録音:鴇田満男、音楽:野崎良太(Jazztronik)、出演:毬谷(まりや)友子、片岡愛之助、樹木希林、國村隼、佐津川愛美、2008年、77分。江戸時代、とある処刑場。宮城野という名の女郎(毬谷友子)が処刑される寸前から始まり、それに至る話が回想として語られ、ラストにまたここへ戻る。 宮城野は、浮世絵師写楽を殺した犯人として捕えられたのであった。そのいきさつが物語のメインとなる。宮城野は年増女郎であったが、かつて、道端で自分を拾ってくれた矢太郎(片岡愛之助)にいまだに惚れ込んでいた。・・・・・・まだ30代前半の日大芸術学部出の監督だが、女の情念の世界に取り組んだ...
2018.07.25 04:40映画 『明治一代女』監督:伊藤大輔、原作:川口松太郎、脚色:伊藤大輔、成澤昌茂、撮影:鈴木博、音楽:伊福部昭、主演:木暮実千代、1955年、84分。これを扱った映画は、これを含め、7本ある。明治20年に、日本橋浜町で起きた芸妓による殺人事件をモチーフに、川口松太郎が書いたストーリーを映画化したもの。 東京・柳橋の芸者、叶家お梅(かのうやおうめ、小暮実千代)は、歌舞伎役者、澤村仙枝(さわむらせんし、北上彌太郎)と恋仲であったが、お梅たち芸者衆のお得意で、歌舞伎舞台や座敷をもつ「大秀(おおひで)」の大女将お秀(杉村春子)は、自分の娘を仙枝に嫁がせようとする。 来春には、仙枝は三代目仙之助を襲名し、披露公演も予定されていた。お梅はその役に立ちたいと願うが、それには芸者...
2018.07.24 14:49映画 『隠された記憶』監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ、撮影:クリスティアン・ベルガー、編集:ミシェル・ハドゥスー、音楽:ラルフ・リッカーマン、主演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ、2005年、119分、仏伊独墺合作、フランス語、原題:Caché(隠されたもの)ある夫婦、ジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)とアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)の家に、その家を正面から定点長回しで撮ったビデオが送られてくる。実際は、その映像が映画のファーストシーンにもなっているので、正確には、送られてきていた、であり、それを見て不審に思う夫婦の会話につながって、ようやく映画は始まる。 このフランス人の夫の実家は裕福であり、幼少のころフランスが属国扱いしていたアルジェリア人...
2018.07.23 14:45映画 『帰らざる河』監督:オットー・プレミンジャー、脚本:フランク・フェントン、撮影:ジョセフ・ラシェル、編集:ルイス・R・レフラー、音楽:シリル・J・モックリッジ、ライオネル・ニューマン(指揮)、主演:マリリン・モンロー、ロバート・ミッチャム、1954年、91分、原題:River of No Returnゴールドラッシュに沸くアメリカ西部が舞台。西部劇ではあるが、集団でのドンパチはなく、さすらいゆく男と女の物語だ。これもシネマスコープで、雄大な山々やメインとなる河、キャンプ場や酒場などが、効果的に映し出される。マット(ロバート・ミッチャム)は9歳の息子マークを探してキャンプ場にたどり着く。マークはサロンで手伝いをしており、その酒場には歌姫ケイ(マリリン・モンロー)がいて...
2018.07.22 14:28映画 『ステイ』監督:マーク・フォースター、脚本:デヴィッド・ベニオフ、撮影:ロベルト・シェイファー、編集:マット・チェシー、音楽:アッシュ&スペンサー、トム・スコット、主演:ユアン・マクレガー、ナオミ・ワッツ、ライアン・ゴズリング、2005年、101分、原題:STAYレンタルやでは、たぶんやむを得ずサスペンス・コーナーに置かざるを得ないだろう。サイコものには違いない。 観客の頭を混乱させるに違いない映画。 だからと言って投げ出すのは早いし腹を立てることもない。他の映画同様、そういう映画として観るしかない。 個人的には好きな映画だ。自分の映画哲学にも合致している。 ストーリーはあるにはある。小賢しく多数の人物が登場し、脚本が精緻に書き込まれている…...
2018.07.21 12:45映画 『フォーン・ブース』監督:ジョエル・シュマッカー、脚本:ラリー・コーエン、撮影:マシュー・リバティーク、編集:マーク・スティーヴンス、音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ、主演:コリン・ファレル、2002年、81分、原題:Phone Booth 芸能人を売り出す仕事をしているスチュワート(スチュ、コリン・ファレル)は、ニューヨークの通りを、携帯片手にてきぱき指示を出していた。一段落したところで、電話ボックスに入り、結婚指輪を外し、女の子に電話を入れる。デートを断られ、電話を切ると、またすぐ鳴り、彼女からと思い、出ると、見知らぬ男からで、矢継ぎ早に男が話す内容に驚き、ばかばかしいと思い、切ろうとするが、男はスチュを監視しているらしく、電話を切ると殺すと脅す。・...
2018.07.20 14:50映画 『地上(ここ)より永遠(とわ)に』監督:フレッド・ジンネマン、脚本:ダニエル・タラダッシュ、撮影:バーネット・ガフィ、編集:ウィリアム・ライオン、音楽:ジョージ・ダニング、モリス・ストロフ (音楽監督)、主演:バート・ランカスター、モンゴメリー・クリフト、デボラ・カー、フランク・シナトラ、1953年、118分、原題:From Here to Eternity、配給:コロンビア映画1941年夏、ハワイのスコフィールド陸軍基地に、プルーイット(モンゴメリー・クリフト)が転属してくる。久しぶりで馴染みのマジオ(フランク・シナトラ)と再会して喜ぶのもつかの間、その隊はボクシング部での優勝をめざすためにブルーイットの転属を許したにもかかわらず、彼はかたくなに部に入ることを拒んだため、いろいろな制...
2018.07.19 12:25映画 『Life ライフ』監督・脚本:佐々木紳、主演:綾野剛、岡本奈月、忍成修吾、撮影:戸田義久、編集:充木裕昌、音楽:綾野剛、mr.a、2007年、93分。 勇(綾野剛)は、東京近郊のとある街(埼玉県本庄市あたり)で、キャンドル・アーティストをめざして日々を送っている。 ある日、高校の同窓会に行くことになるが、その前の日、留守番電話に見知らぬ女の子からのメッセージが入っていたので、同窓会に行く途中、そのメッセージにあった場所に行ってみる。・・・・・・田園風景を背景に、ゆっくりとした時間ややさしさを表現する映画は多い。これもその一つだ。 留守番メッセージを残した女子高校生は失恋したばかりであったし、久しぶりに同窓会で会った元カノはパイロットとの結婚が決まっていた。親友...