監督:ジョエル・シュマッカー、脚本:ラリー・コーエン、撮影:マシュー・リバティーク、編集:マーク・スティーヴンス、音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ、主演:コリン・ファレル、2002年、81分、原題:Phone Booth
芸能人を売り出す仕事をしているスチュワート(スチュ、コリン・ファレル)は、ニューヨークの通りを、携帯片手にてきぱき指示を出していた。一段落したところで、電話ボックスに入り、結婚指輪を外し、女の子に電話を入れる。デートを断られ、電話を切ると、またすぐ鳴り、彼女からと思い、出ると、見知らぬ男からで、矢継ぎ早に男が話す内容に驚き、ばかばかしいと思い、切ろうとするが、男はスチュを監視しているらしく、電話を切ると殺すと脅す。・・・・・・
『フォーリング・ダウン』(1993年)のジョエル・シュマッカー監督作品。スチュが電話ボックスに入ってから、ほとんどラストまで、ボックスとその周辺だけが舞台で、スチュは男と話しどうしである。
着想がおもしろいし、切れ目がないので、一気に観ることができる。スチュと男の会話が多いが、難しい話をしているわけでもないので、付き合っていける。
ストーリーの辻褄も合っていて、問題ない。いわば、電話ボックスを舞台にした舞台劇に近いが、男は声だけで、ラスト近くまで姿を見せない。その緊張感がなかなかよい。
電話が中心なので、画面に話し手を映す窓を入れたり、ボックスの外に、いろいろな他人をよこしたりしている。電話の相手はいかにもサイコ野郎だが、『フォーリング・ダウン』同様、日常からかけ離れてはいないサスペンスの味わいもあり、なかなかおもしろい映画だった。
ひと幕ものは、成功か駄作かのどちらかだ。ヒッチコック『ダイヤルMを廻せ』(1954年)や『裏窓』(19454年)は、まずまず成功した。この作品は屋外の電話ボックスだ。
単純明快ななりゆき・セリフ・映像シーン、映像の切り返し・遠近の使い分けなどバラエティに富み、決して退屈させないつくりで、小気味いい仕上がりとなった。
映画のエンタメ性は、こういう映画でも、充分保たれるのだ。
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