2019.08.31 13:55映画 『引き裂かれた女』監督:クロード・シャブロル、脚本:セシル・メストル、クロード・シャブロル、撮影:エドゥアルド・セラ、編集:モニーク・ファルドゥリ、音楽:マチュー・シャブロル、主演:リュディヴィーヌ・サニエ、ブノワ・マジメル、フランソワ・ベルレアン、2007年、115分、仏独合作、原題: La Fille coupée en deux(半分に裂かれた女)作家のシャルル・サン・ドニ(フランソワ・ベルレアン)は、自分が出ることになったTV局の楽屋に次いで、再びあるパーティー会場で見かけたTV局のお天気キャスター、ガブリエル・ドネージュ(リュディヴィーヌ・サニエ)に、目を奪われる。翌日、シャルルは、本屋のサイン会で、またもガブリエルと出会うが、そこはガブリエルの母親の店であっ...
2019.08.30 13:05映画 『E.T.』監督:スティーヴン・スピルバーグ、脚本:メリッサ・マシスン、製作:スティーヴン・スピルバーグ、キャスリーン・ケネディ、撮影:アレン・ダヴィオー、編集:キャロル・リトルトン、音楽:ジョン・ウィリアムズ、主演:ヘンリー・トーマス、ドリュー・バリモア、1982年、115分、原題:E.T. The Extra-Terrestrial封切以来、久々に観た。いま観ると、やはり典型的な子供向け映画であることに変わりない。チープな夢物語の域を出ていない。見えない恐怖から見える恐怖へ、そして見える恐怖から見える愛着へと、いい悪いを別として、スピルバーグの制作遍歴を知るのにも道しるべとなる作品だ。いずれにしても、このテンポの遅いお子さま向け映画は、『ポセイドン・アドベンチ...
2019.08.29 13:45映画 『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』監督:フィリダ・ロイド、脚本:アビ・モーガン、撮影:エリオット・デイヴィス、編集:ジャスティン・ライト、音楽:トーマス・ニューマン、主演:メリル・ストリープ、ジム・ブロードベント、2011年、イギリス映画、105分、原題:The Iron Lady老婆が店で牛乳を買う。その後、家の中で、夫と向き合って、朝食をとる。夫デニスと向かい合っていたはずだが、次のカットでは消えている。デニスは他界しており、認知症のマーガレットには見えるということで、多くのシーンンで二人が登場し、その上で、マーガレットの幼少期、二人の出会いと政界入りから引退までを、実際の映像フィルムを挿入させながら描いている。実際のフィルムには、現役時代のサッチャーの後姿しか見せず、デニスが映っ...
2019.08.28 13:25映画 『影武者』監督:黒澤明、脚本:黒澤明、井手雅人、監督部チーフ:本多猪四郎、アドバイザー:橋本忍、撮影:斎藤孝雄、上田正治、撮影協力:中井朝一、宮川一夫、照明:佐野武治、美術:村木与四郎、録音:矢野口文雄、音楽:池辺晋一郎、主演:仲代達矢、山崎努、萩原健一、1980年、179分、東宝。井出雅人は、『点と線』の脚本担当。その後、黒澤と仕事をするまでになった。主役を予定していた勝新太郎とのケンカ別れ、映画音楽のベテラン佐藤勝との決別、予算オーバーを黒澤のファンである米国人監督にすがることによってカバーする、など、当時、映画の外でも話題の多かった作品だ。『乱』を撮るためのエチュード(練習曲・試作品)とも言われるほど、両作品は出演者などにおいても類似している。実際、黒澤の...
2019.08.27 11:35映画 『アウトロー』監督・脚本:クリストファー・マッカリー、原作:リー・チャイルド、撮影:キャレブ・デシャネル、音楽:ジョー・クレイマー、主演:トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、2012年、130分、原題:Jack Reacherほかに、ロバート・デュヴァルも共演、ドイツの映画監督ヴェルナー・ヘルツォークが出演。それにしても、『アウトロー』というタイトルは、内容とずれた邦題だ。トム・クルーズ自身が製作の一員に加わり、カーチェイスのシーンはスタントを使わず、すべて自身で行った。今回もまた、トム・クルーズの、トム・クルーズによる。トム・クルーズのための映画と言われてもしかたない。ピッツバーグのとあるビルから、川を隔てた反対側の遊歩道を歩く女性ら数人が、ライフルで射殺される。...
2019.08.26 12:40映画 『ドライヴ』監督:ニコラス・ウィンディング・レフン、原作:ジェイムズ・サリス、脚本:ホセイン・アミニ、音楽:クリフ・マルティネス、主演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、2011年、100分、15禁、原題:DRIVE 監督は、この作品でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞している。言ってみれば、西洋版任侠もので、そこが評価されたというなら、カンヌやベネチアは、日本の任侠ものを知らないメンバーが審査員をやっていることになる。まさかそれだけの理由ではないだろう。受賞はめでたいく後進の励みにもなるだろうが、いわゆる映画づくりに当たっての新機軸が評価されたとするなら、その受賞に大した意味はない。修理工場で働く孤独な男がいて、車運転のスタントなどもでき、運転の腕はピカ一であ...
2019.08.25 07:15映画 『はやぶさ 遥かなる帰還』監督:瀧本智行、原作:山根一眞、脚本:西岡琢也、音楽:辻井伸行、主演:渡辺謙、江口洋介、夏川結衣、2012年、136分、東映。 脚本は、『沈まぬ太陽』(2009年)などで著名な西岡琢也。東映60周年を記念して作られたようで、相当の資金がかかっているのがわかるし、宣伝効果もあり、人気を呼んだ作品だ。小惑星探査機「はやぶさ」の偉業を、その仕事にかかわった研究者らの挿話を交えて作られている。2003年5月9日の打ち上げから、資料を採取して、カプセルが地球に戻る2010年6月13日までの「はやぶさ」のミッションは、決して平坦なものではなかった。地球から約60億キロ離れた宇宙空間に浮遊する「イトカワ」と名付けられた惑星に着地し、そこの表面にある砂などをカプセルに...
2019.08.24 08:31映画 『沈まぬ太陽』監督:若松節朗、製作総指揮:角川歴彦(かどかわ・つぐひこ)、原作:山崎豊子、脚本:西岡琢也、撮影:長沼六男、編集:新井孝夫、音楽:住友紀人、主演:渡辺謙、2009年、202分、東宝。間に10分の休憩が入る長編である。国民航空ジャンボ機墜落事故とその後の展開を、恩地元(渡辺謙)の人生の歩みや、国航(国民航空)の社内人事、国航再建に向けての政治などをも織り交ぜて描く。日航ジャンボ機墜落事故に材を取っている。恩地を中心に、現在と過去が、交互に描かれていく。恩地は、今や、遺族の担当となり東奔西走する立場であるが、昭和40代はじめころは、組合の委員長であり、それが原因で、海外僻地の支店に飛ばされる。飛行の安全を願う恩地とは異なり、副委員長だった行天四郎(三浦友和...
2019.08.23 11:10映画 『飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』監督:ジョン・ラッセンホップ、脚本:キルステン・エルムス、アダム・マーカス、デブラ・サリヴァン、撮影:アナスタス・N・ミコス、編集:ランディ・ブリッカー、音楽:ジョン・フリッゼル、主演:アレクサンドラ・ダダリオ、ダン・イェーガー、2013年、92分、アメリカ映画、原題:Texas Chainsaw Massacre 3Dいろいろな続編やリメイクがあるが、本作では、元の『悪魔のいけにえ』(1974年)が終わって、1時間経ったところから始まるという設定だ。『テキサス・チェーンソー』(2003年)は、『悪魔のいけにえ』(1974年)を、全面的に作り直した作品である。元の『悪魔のいけにえ』では、若者たちのうち、かろうじてひとりの娘だけが、チェーンソーの魔の手か...
2019.08.22 05:23映画 『プラチナデータ』監督:大友啓史、原作:東野圭吾、脚本:浜田秀哉、撮影:佐光朗、編集:今井剛、美術:橋本創、録音:湯脇房雄、照明:渡部嘉、音楽:澤野弘之、主演:二宮和也、豊川悦司、2012年、134分、東宝。連続幼児殺害事件は、プラチナデータによるDNA捜査で、一気に犯人が特定され捕まった。この流れがイントロで10分流されてからタイトルが出る。人間のDNAから、その年齢、顔かたち、足のサイズまで割り出し、その家族・親類までも特定することができる。膨大なプラチナデータのファイルから、特定の人物を割り出し、犯人像と照合して一致すれば、それが間違いなく犯人ということになる。顔と全身のモンタージュを作り、監視カメラから照合する顔を取り出せば、どこに犯人がいようとも、どんな凶悪犯...
2019.08.21 10:15映画 『この世で俺/僕だけ』監督:月川翔、脚本:松瀬研祐、撮影:木村信也、照明:尾下栄治、音楽:ゲイリー芦屋、主演:マキタスポーツ、池松壮亮、佐野史郎、109分。伊藤博(マキタスポーツ)は、 損保会社に勤めるうだつの上がらないサラリーマン、かつてはロックを歌うこともあった。離婚歴があって、今はひとり暮らし。黒田甲賀(こうが、池松壮亮)は高校生だが、いわゆる不良で、仲間とカツアゲして小遣いを稼いでいた。この風采の上がらない中年男と不良高校生が、ある晩、同時に、赤ちゃん誘拐の犯人になってしまう。伊藤は、朝のテレビ番組の今日の運勢コーナーで、自分の星座の今日の運勢が、何でも思いついた時にすぐ実行するのがよいでしょう、と知り、これを真に受け、夜のコンビニに乗り付けてあった車を、勝手に運転...
2019.08.18 05:45映画 『麒麟の旗 ~劇場版・新参者~』監督:土井裕泰(どい・のぶひろ)、原作:東野圭吾、脚本:櫻井武晴、撮影:山本英夫、編集:穂垣順之助、音楽:菅野祐悟、出演:阿部寛、新垣結衣、中井貴一、2012年、129分、東宝。前から気にはなっていたが、主演の阿部寛、中井貴一、溝端淳平の三人とも嫌いなので、敬遠していた。実際、あまりい演技をしているとも思わない。むしろ、脇を固める俳優陣と、みごとな脚本によって救われている。原作がおもしろく、脚本とカメラがしっかりしていれば、出演者が大根でも、みごとな出来栄えになるという見本だ。日本橋の欄干にある麒麟の像のそばで、初老の男が、腹にナイフを突き刺されて倒れる。捜査本部では二人の刑事、加賀( 阿部寛)と松宮(溝端淳平)が中心となって、聞き込みを始める。事件直...