2018.08.31 14:25映画 『夜叉』監督:降旗康男、脚本:中村努、撮影:木村大作、編集:鈴木晄、音楽:佐藤允彦(まさひこ)、トゥーツ・シールマンス、主演:高倉健、田中裕子、1985年、128分、東宝。ヤクザ映画一筋と言っても過言でない監督と、その作品に多く出演している高倉健、撮影もよく組む木村大作で、息の合った仕上がりになるのは言うまでもない。降旗は他に、岩下志麻主演『新・極道の妻(おんな)たち 惚れたら地獄』(1994年)や、同じ岩下主演で、近親相姦を題材とした『魔の刻(とき)』(1985年)なども撮っている。若狭湾敦賀の小さな漁港に、蛍子(けいこ、田中裕子)という女が子連れで訪れ、「蛍(ほたる)」という飲み屋を始める。漁師のあらくれ男たちは、蛍子の色っぽさと愛想のよさに、毎晩のように...
2018.08.30 14:45映画 『十三人の刺客』監督:三池崇史、脚本:天願(てんがん)大介(=今村大介、映画監督・今村昌平の長男)、撮影:北信康、編集:山下健治、音楽:遠藤浩二、2010年、141分。まあまあおもしろかった。内容の濃さを求めて、それがないから映画としてダメというのはレビューにあらず。ストーリーは単純明快にして、映像でどっさり見せてくれる作品。言葉で語らず、映像で見せてくれる…映画なら当たりまえのことを、当たり前にやってくれたことで、まあまあ評価は高いのも頷ける。となると、どうしても、ストーリー展開が命取りになるが、妙にひねったりしなかったのが功を奏した。悪いヤツがどれくらい悪いか、殺さなければならないほど悪いかの説明を単純に前触れ程度に抑え、そののち、十二人が集められていき、それぞれ...
2018.08.29 07:45映画 『P2』監督:フランク・カルフン、脚本:フランク・カルフン、アレクサンドル・アジャ、グレゴリー・ルヴァスール、撮影:マクシム・アレクサンドル、音楽:トマンダンディ、主演:レイチェル・ニコルズ、ウェス・ベントレー、2007年、97分、原題:P2、R18+P2とは、地下2階駐車場のこと。 クリスマスの夜、アンジェラ(レイチェル・ニコルズ)は残業を終えて地下2階に降り、車のエンジンをかけようとするがかからず、タクシーを呼んでもらおうと警備員事務室に寄る。一人でいた警備員トム(ウェス・ベントリー)が車を直そうとするがやはり直らず、アンジェラはタクシーを呼ぶことにする。やがてタクシーは来るが、1階のドアが開かず、アンジェラはトムのところに戻るが、・・・・・・ビルの地下駐...
2018.08.28 14:45映画 『タワーリング・インフェルノ』監督:ジョン・ギラーミン、製作・アクションシーン監督:アーウィン・アレン脚本:スターリング・シリファント、撮影:フレッド・J・コーネカンプ、編集:カール・クレス、ハロルド・F・クレス、音楽:ジョン・ウィリアムズ、主演:スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン、1974年、165分、原題:The Towering Inferno(=そびえ立つ地獄)、ワーナー・ブラザース・20世紀フォックス共同製作・提供作品。『大地震』と同じ、1974年のパニック映画。こちらは火災の映画で、このあと、本格的な火災を扱うのは『バックドラフト』(1991年)くらいだ。 実際の炎の姿を横に、消防士たちの勇気ある活躍ぶりを描いている。 『レマゲン鉄橋』の監督で、こちらは長い映...
2018.08.27 14:40映画 『美しさと哀しみと』監督:篠田正浩、原作:川端康成、脚本:山田信夫、撮影:小杉正雄、編集:杉原よ志、美術:大角純一、照明:中村明、録音:栗田周十郎、タイトル画・絵:池田満寿夫、主演:山村聰、加賀まりこ、八千草薫、1965年、106分。ある年の暮れ、作家の大木年雄(山村聡)は、京都で除夜の鐘を聞くため新幹線に乗っていた。京都には、かつて少女時代に身ごもらせた上野音子(八千草薫)がいたからである。京都に着き、電話で音子に知らせると、翌日年雄を迎えに来たのは、音子の弟子、坂見けい子(加賀まりこ)であった。・・・・・・年雄はかつて、16歳であった音子との間に子をなしたが、誕生後すぐにその子は死んでしまい、その経緯を書いた小説「十六七の少女」で、作家生活に入った経歴をもつ。年雄には...
2018.08.26 06:15映画 『ピエル・パオロ・パゾリーニ/ソドムの市』監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ、原作:マルキ・ド・サド『ソドム百二十日あるいは淫蕩学校』(フランス語原題 Les 120 Journées de Sodome, ou l'Ecole du libertinage)、脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ、セルジオ・チッティ、撮影:トニーノ・デリ・コリ、編集:ウンベルト・アンセルッチ、音楽:エンニオ・モリコーネ、主演:パオロ・ボナチェッリ、1975年、118分、伊仏合作、原題:Salò o le 120 giornate di Sodomaサドの『ソドムの120日』を元にしたパゾリーニの遺作。 ナチス占領下の北イタリアが舞台。人里離れた<サロ>という町にある巨大な屋敷のなかだけでの話。 そこで、高名な公爵ら...
2018.08.24 11:45映画 『戦場のピアニスト』監督:ロマン・ポランスキー、脚本:ロナルド・ハーウッド、ロマン・ポランスキー、撮影:パヴェル・エデルマン、編集:ハーヴ・デ・ルーズ、音楽 ヴォイチェフ・キラール、主演:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、仏独英ポーランド合作、2002年、148分、原題:The Pianistユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマン(ウワディク)の伝記物語の映画化。伝記モノは事実を再現してつなげていくので、それ自体に付き合わなければならず、だいぶ苦痛であるが、その伝えんとする事実そのものに価値があるならば、付き合わなければならないだろう。1939年9月のナチスによるポーランド侵攻から、ソ連の侵入によりナチスが撤退するまでを、ピアニストで...
2018.08.23 12:45映画 『激突』監督:スティーヴン・スピルバーグ、原作・脈本:リチャード・マシスン、撮影:ジャック・A・マータ、編集:フランク・モリス、音楽:ビリー・ゴールデンバーグ、主演:デニス・ウィーバー、1971年、90分、原題: Duelスピルバーグ、25歳のときの初期作品。 ほとんどセリフがないので、見ていて楽だ。 25歳のときのテレビ用映画ですが、アメリカ国内外で人気を呼び、劇場用として公開されるようになった作品で、この映画で初めてスピルバーグの名は世界に知られることになった。 一介のサラリーマンの運転する乗用車と、大型タンクローリーの追い越し・追い越されの繰り返し、といえばそれまでで、たしかにテレビスケールの作品ではあるが、サスペンスの基本を狙った意図が当たって、有名な...
2018.08.22 08:15映画 『ハイテンション』監督:アレクサンドル・アジャ、脚本:アレクサンドル・アジャ、グレゴリー・ルヴァスール、撮影:マクシム・アレクサンドル、編集:バクステール、音楽:フランソワ・ウード、主演:セシル・ドゥ・フランス、マイウェン、2003年、91分、フランス映画、原題:Haute Tension邦訳は原題どおり。マリー(セシル・ドゥ・フランス)とアレックス(マイウェン)は、勉強に専念するため、アレックスの両親が住む田舎の一軒屋に泊まりにいく。アレックスには、両親のほか、弟がいる。その晩、皆が寝静まったころ、車の音がし、見知らぬ男が侵入してきて…。ホラー映画としては構成や運びがよい。カメラは特殊なものはなく、オーソドックスな撮影で、かえって安心して見ていられる。 冒頭のタイトル...
2018.08.21 12:45映画 『トワイライトゾーン/超次元の体験』製作:スティーヴン・スピルバーグ、ジョン・ランディス、監督:ジョン・ランディス、スティーヴン・スピルバーグ、ジョー・ダンテ、ジョージ・ミラー、脚本:ジョン・ランディス、ジョージ・クレイトン・ジョンソン、リチャード・マシスン、メリッサ・マシスン、音楽:ジェリー・ゴールドスミス、1983年、101分。アメリカTVの人気番組「ミステリー・ゾーン」の、ロッド・サーリング自身による映画化。 四話からなるオムニバス映画。 『コンバット』のヴィク・モロー、『シャイニング』のスキャットマン・クローザース、怪優ジョン・リスゴーらが出ている。 『遊星からの物体X』のロブ・ボッティンが第3話のかわいい怪物たちを製作している、ヴィク・モローが撮影中にヘリコプターの羽が当たって...
2018.08.20 14:55映画 『ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版』監督:脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ、撮影:ブラスコ・ジュラート、編集:マリオ・モッラ、音楽:エンニオ・モリコーネ、主演:フィリップ・ノワレ、ブリジット・フォッセー、1988年、175分、伊仏合作、原題:Nuovo Cinema Paradisoこのディレクターズカット版以外に、124分(国際版)、 155分がある。イタリアのいなか町が舞台で、そこの庶民の唯一の娯楽である映画が人々に愛される姿と、新築なった映画館<ニュー・シネマ・パラダイス>が取り壊されるまでが、映画技師アルフレッド(フィリップ・ノワレ)と、彼を慕い映画好きになる子供サルヴァトーレを中心に描かれる。平行して、成長した青年サルヴァトーレの恋と別れが描かれるが、ラスト近く老いた二人は再会し...
2018.08.19 07:50映画 『セルラー』監督:デヴィッド・エリス、脚本:クリス・モーガン、編集:エリック・A・シアーズ、音楽:ジョン・オットマン、主演:キム・ベイシンガー、クリス・エヴァンス、ジェイソン・ステイサム、2004年、95分、原題:CELLULAR原案は『フォーン・ブース』(2002年)の脚本を書いたラリー・コーエン。Cellularは携帯電話のこと。終わってみると、95分という時間が早かった。流れにムダがなく、グイグイ引っ張っていってくれる。内容はありふれた材料だが、カメラ、ストーリーとも行き届いていて、ラストの会話まで楽しめた。エンタメ性充分! 事件は開始ほとんど直後に起きる。その後若干止むにやまれぬもたつき感があるけど、誘拐犯(ジェイソン・ステイサム)らに監禁されたジェシカ(...