2018.06.30 13:45映画 『アンチクライスト』監督・脚本:ラース・フォン・トリアー、撮影:アンソニー・ドッド・マントル、音楽:クリスチャン・エイネス・アンダーソン、主演:ウィレム・デフォー、シャルロット・ゲンズブール、2009年、104分、デンマーク・ドイツ・フランス・スウェーデン・イタリア・ポーランド合作、英語、原題:カラー(一部モノクロ)、原題:ANCHCHRIST、映画タイトル:ANTICHRIST、スクリーンタイトル:ANTICHRIS♀夫婦(彼:ウィレム・デフォー、彼女:シャルロット・ゲンズブール)がセックス中に、幼い一人息子ニックが、窓からあやまって転落し死亡する。 彼女は深く傷つき、ニックの死に対し、強く自責の念に駆られる。しばらく入院加療したものの精神の不安定は改善しないので、セラ...
2018.06.29 14:25映画 『望郷』監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ、原作:アシェルベ(アンリ・ラ・バルト)、脚本:アシェルベ探偵(アンリ・ラ・バルト)、ジュリアン・デュヴィヴィエ、ジャック・コンスタン(脚色)、アンリ・ジャンソン(台詞)、撮影:マルク・フォサール、ジュール・クルーガー、編集:マルグリット・ボージェ、音楽:ヴァンサン・スコット、モハメド・イグルブーシャン、主演:ジャン・ギャバン、ミレーユ・バラン、1937年(昭和12年)、94分、モノクロ、フランス映画、原題:Pepe Le Moko稀代の宝石泥棒ぺぺ・ル・モコ(ジャン・ギャバン)は、パリから逃げてきて、今はアルジェの港近くの通称カスバと呼ばれる丘の上の街に住みついていた。 カスバは入りくんだ迷路のような街で、警察は逮捕で...
2018.06.27 16:35映画 『鬼龍院花子の生涯』監督:五社英雄、原作:宮尾登美子、脚本:高田宏治、撮影:森田富士郎、編集:市田勇、音楽:菅野光亮、主演:仲代達矢、岩下志麻、夏目雅子、1982年、146分。 上映当時、夏目雅子のセリフ、「あんたら、なめたらいかんぜよ!」が有名になった。土佐の侠客:鬼龍院政五郎(通称・鬼政)と、その娘花子の波乱万丈の生涯を、12歳で鬼政のもとへ養女に出され、約50年にわたりその興亡を見守った松恵の目線から描いた作品。 映画は、松恵(夏目雅子)が、花子の亡骸に対面するところから、回想に入り、ラストでここに戻る。 大正7年秋、土佐・高知の侠客、鬼龍院政五郎(仲代達矢)一家に、松恵(仙道敦子)とその弟(桜井稔)がもらわれてくる。弟はすぐ逃げ出すが...
2018.06.27 05:25映画 『白いリボン』監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ、撮影:クリスティアン・ベルガー、編集:モニカ・ヴィッリ、出演:クリスティアン・フリーデル、レオニー・ベネシュ、ウルリッヒ・トゥクール、144分、2009年、ドイツ/オーストリア/フランス/イタリア合作、ドイツ語、原題:DAS WEISSE BAND(白いリボン) 総勢27人近い登場人物があり、その半数近くは何かしらの役を演じ、そのうち10人近くが子供であるので、一通り人物が出そろうまでに、寝ぼけまなこだと混乱しかねない。そうこうするうちにも事件は静かに起きていくので、なおさら覚醒して観ていないと、要点ものがしてしまうような映画である。 ラスト近くでサラエボ事件が話され、時代が第一次世界大戦直前であることがわかり、タイトル...
2018.06.26 14:55映画 『トレインスポッティング』監督:ダニー・ボイル、原作:アーヴィン・ウェルシュ、脚本:ジョン・ホッジ、撮影:ブライアン・テュファーノ、編集:マサヒロ・ヒラクボ、主演:ユアン・マクレガー、1996年、94分、イギリス映画、原題:Trainspotting「トレインスポッティング(Trainspotting)」は元々は「鉄道マニア」を意味するが、原作者・アーヴィン・ウェルシュは「ヘロイン中毒者」の暗喩として使っている。ユアン・マクレガーを一躍有名にした作品でもある。監督は、後に、『スラムドッグ$ミリオネア』(2008年)や『127時間』(2010年)を撮ることになるダニー・ボイル。 毎日のようにヘロインを打ちながら、それでも、こんなこっちゃいけねえんだ、なんとかしなくちゃ、...
2018.06.25 14:45映画 『大地震』監督:マーク・ロブソン、脚本:マリオ・プーゾ、ジョージ・フォックス、撮影:フィリップ・ラスロップ、編集:ドロシー・スペンサー、音楽:ジョン・ウィリアムズ、主演:チャールトン・ヘストン、エヴァ・ガードナー、ジョージ・ケネディ、ローン・グリーン、ジュヌビエーブ・ブジョルド、1974年、123分、原題:EARTHQUAKEいわゆる典型的なパニック映画。それまでは『ポセイドン・アドベンチャー』の船の転覆が有名で、テレビで繰り返しやっていた。 これが日本に来たのは私が19歳のときで、有楽町まで観に行った。映画そのものより、初めて都心の映画館で映画を観たという印象が強く、自分にとっては忘れられない作品だ。 チャールトン・ヘストン、エヴァ・ガードナーが誰なのかも知ら...
2018.06.24 03:05映画 『手錠のまゝの脱獄』監督・製作:スタンリー・クレイマー、脚本:ネイサン・E・ダグラス、ハロルド・ジェイコブ・スミス、撮影:サム・リーヴィット、音楽:アーネスト・ゴールド、主演:トニー・カーティス、 シドニー・ポワチエ、1958年、97分、アメリカ映画、原題:THE DEFIANT ONES(挑戦的なヤツら)深夜、どしゃ降りのなか、一台の囚人護送車が、暗い夜道をひた走る。タイトルバックにアカペラで、男の口ずさむ歌が聞こえる。それを歌っているのは黒人のカレン(シドニー・ポワチエ)で、右手が同じく囚人のジャクソン(トニー・カーチス)の左手とつながれている。対向車を避けようと護送車は崖に転落し、警察が着くと、二人の姿だけなかった。二人は手錠でつながれたまま、逃走したのだ。警察は犬...
2018.06.23 13:15映画 『靴みがき』監督:ヴィットリオ・デ・シーカ、原作:チェザーレ・ザヴァッティーニ、脚本:ヴィットリオ・デ・シーカ、チェザーレ・ザヴァッティーニ、セルジオ・アミディ、チェザーレ・ヴィオラ、アドルフォ・フランチ、撮影:アンキーゼ・ブリッツィ、音楽:アレッサンドロ・チコニーニ、主演:リナルド・スモルドーニ、フランコ・インテルレンギ、1946年、90分、イタリア映画、モノクロ、原題:Sciuscià(=ささやき)『自転車泥棒』(1948年)と並ぶデ・シーカの初期の代表作。イタリア・ネオレアリズモと言われる、戦後イタリアの庶民生活を、力強くリアルに描き出した作品群の一つ。 戦後間もないローマ。 パスクァーレ(フランコ・インテルレンギ)と、友達のジュゼッペ(リナルド・スモルドー...
2018.06.22 11:55映画 『エレファント』監督・脚本・編集:ガス・ヴァン・サント、撮影:ハリス・サヴィデス、2003年、81分、原題:Elephant、R15+『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)のガス・ヴァン・サント監督作品。カンヌ国際映画祭で、最高賞パルム・ドールと監督賞を、史上初めて同時受賞した。 1999年4月20日にコロラド州で起きた、コロンバイン高校銃乱射事件を題材にしている。予告時のキャッチコピーは「キスも知らない17歳が銃の撃ち方は知っている」というもので、題名は、北アイルランド紛争を描いた番組“Elephant”からとられている。 明確な主役というものはない。ラストで銃を乱射する二人の男子高校生を含め、何人かの男女の高校生が出てくる。彼らは、二回以上出てくるが、同じ...
2018.06.21 14:45映画 『どぶ』監督:新藤兼人、脚本:新藤兼人、棚田吾郎、撮影:伊藤武夫、編集:今泉善珠、美術:丸茂孝、照明:田畑正一、音楽:伊福部昭、主演:乙羽信子、宇野重吉、殿山泰司、信欣三、藤原釜足、1954年(昭和29年)、114分。 『縮図』同様、雨の降るシーンから始まる。『縮図』にD51が見られるように、この映画も冒頭近くにトロリーバスが映り、時代を感じさせる。 舞台は鶴見あたりで、河川敷に住む労働者の集落全体が主役のような映画だ。 ひとりの男(徳、殿山泰司)が工場に出勤しようとすると、浮浪者のような女(乙羽信子)が寝転がったまま腹が減ってると言うので、男はコッペパン一個を投げて通り過ぎていく。女はそれをむさぼり食う。・・・・・・フェデリコ・フェリーニ...
2018.06.20 13:55映画 『氷の微笑』監督:ポール・バーホーベン、脚本:ジョー・エスターハス、撮影:ヤン・デ・ボン、編集:フランク・J・ユリオステ、音楽:ジェリー・ゴールドスミス、主演:マイケル・ダグラス、シャロン・ストーン、1992年、128分、原題:Basic Instinct(基礎本能)原タイトルをそのまま訳すと『基礎的本能』…これを『氷の微笑』と訳した配給会社の人間はエラい。邦題がめちゃくちゃな映画が多いなかで、これは大成功だった。撮影のヤン・デ・ボンは、後に『スピード』を撮ることになる。豪華な邸宅、海辺に面した豪華な別荘、高級スポーツカー、カーチェイス、官能的な美女、セックス、ドラッグ、ジャック・ダニエル、アイスピック、殺人、ディスコ、犯人のわかりにくいサスペンス、…これだけ材料...
2018.06.19 14:45映画 『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』監督・脚本:大森立嗣、撮影:大塚亮、編集:普嶋信一、美術:杉本亮、音楽:大友良英、主演:松田翔太、高良健吾、安藤サクラ、2010年、131分。『ゲルマニウムの夜』と同じ監督なので、そこそこ予想はしていた絵であり、ストーリーもチラシなどでわかっていた。 いつの時代にもよくある話で、様々な理由で現状に不満のある若者が、その壁にどう向き合うのか、どう打破していくのかを描いたテーマ。こんな腐るほど語られてきたテーマを、「あの」『ゲルマニウムの夜』の監督が、男二人女一人を配して、どう映像でさばくのかを観てみたかった。つまり、前作と違い、通俗的なテーマなので、テーマ自体が個性になるという有利さが初めからない勝負に出たわけである。 主役たち三人に距離をおか...