2022.01.30 10:41映画 『フューリー』監督・脚本:デヴィッド・エアー、撮影:ローマン・ヴァシャノフ、編集:ドディ・ドーン、音楽:スティーヴン・プライス、主演: ブラッド・ピット、2014年、134分、原題:Fury1945年4月、連合国がナチス・ドイツに最後の攻勢をかけようとしていた。第2機甲師団・第66機甲連隊に所属するドン・❛ウォーダディー❜・コリアー(ブラッド・ピット)は、M4A3E8 シャーマン「フューリー」号の車長を務めていた。そこには、砲手のボイド・❛バイブル❜・スワン(シャイア・ラブーフ)、装填手のグレイディ・❛クーンアス❜・トラヴィス(ジョン・バーンサル)、操縦手のトリニ・❛ゴルド❜・ガルシア(マイケル・ペーニャ)が乗っていた。副操縦手は戦闘で死亡したため、新兵で、軍ではタ...
2022.01.30 10:01映画 『極道の妻たち 赫い絆』監督:関本郁夫、原作:家田荘子、脚色:塙五郎、企画:日下部五朗、撮影:木村大作、編集:荒木健夫、音楽:小六禮次郎、美術:内藤昭、照明:安藤清人、録音:堀池美夫、主演:岩下志麻、宅麻伸、1995年、114分、配給:東映キャッチコピーは、「決着(けじめ)は、わてがとらして貰います。」大阪の堂本組は、組長の堂本増吉(内田朝雄)が病気を理由に引退、娘・きわ(岩下志麻)の夫で若頭補佐の久村(くむら)修一郎(宅麻伸)が後を継いだ。きわは襲名披露が行われるホテルの着付け室で、対立組織である三東会組長(萩原流行)の弟の後藤信治(古田新太)に襲われ、きわが信治の顔面を切り付け、修一郎は信治の子分を射殺してしまう。組を守るため村上徳一(渡辺裕之)が身代わりとして逮捕され、...
2022.01.28 15:08映画 『切腹』監督:小林正樹、脚本:橋本忍、原作:滝口康彦(『異聞浪人記』より)、撮影:宮島義勇、編集:相良久、美術:戸田重昌、大角純平、録音:西崎英雄、照明:蒲原正次郎、音楽:武満徹、主演:仲代達矢、1962年、133分、配給:松竹1630年(寛永7年)5月13日、井伊家の江戸屋敷に、安芸広島福島家元家臣、津雲半四郎(つくも・はんしろう、仲代達矢)と名乗る浪人が訪ねてくる。半四郎は井伊家の家老である斎藤勘解由(さいとう・かげゆ、三國連太郎)に、「仕官もままならず生活も苦しいので、このまま生き恥を晒すよりは武士らしく、潔く切腹したい。ついては屋敷の玄関先を借りたい」と申し出た。不審に思った勘解由は半四郎に会い、先日、同じように申し出てきた千々岩求女(ちぢいわ・もとめ...
2022.01.25 14:01映画 『女の中にいる他人』監督:成瀬巳喜男、脚本:井手俊郎、原作:エドワード・アタイヤ 『細い線』、撮影:福沢康道、編集:大井英史、美術:中古智、録音:斎藤昭、照明:石井長四郎、音楽:林光、主演:小林桂樹、新珠三千代、1966年、102分、配給:東宝雨上がりの歩道をひとり歩く田代勲(小林桂樹)は、ふらりとバーに入る。その姿をガラス越しに杉本(三橋達也)が見て入ってくる。その後、そのバーの近くのアパートで、杉本の妻・さゆり(若林映子)が絞殺されているのが発見される。犯人がわからないまま時は過ぎ、同時に田代は塞ぎ込むように落ち込んでいった。田代は、妻・雅子(新珠三千代)と二人の子、それに自分の母(長岡輝子)と暮らしており、初めのうちはみな、仕事で疲れているという嘘を信じていたが、あ...
2022.01.23 08:22映画 『影の車』監督:野村芳太郎、脚本:橋本忍、原作:松本清張『潜在光景』、撮影:川又昂、編集:浜村義康、美術:重田重盛、録音:栗田周十郎、照明:三浦礼、音楽:芥川也寸志、主演:加藤剛、岩下志麻、小川真由美、1970年、98分、カラー、配給:松竹旅行代理店に勤める浜島幸雄(加藤剛)は、自宅への帰途、バスの中で小磯泰子(岩下志麻)に声をかけられる。二人は、以前、千葉県千倉町で、近所同士だったのだ。その後、再び偶然、帰りのバスで二人は会い、泰子は浜島を自宅に誘う。泰子は夫に先立たれ、6歳の息子・健一(岡本久人)と二人暮らしで、仕事は保険会社の外交員であった。浜島の家は、泰子の降りるバス停より先で下車したところにある団地であった。妻・啓子(小川真由美)は、フラワー教室の先生...
2022.01.23 01:04映画 『雨月物語』監督:溝口健二、製作:永田雅一、原作:上田秋成、脚本:川口松太郎(「オール讀物」所載)、依田義賢、作詞:吉井勇、撮影:宮川一夫、録音:大谷巌、照明:岡本健一、美術監督:伊藤熹朔、音楽監督:早坂文雄、主演:森雅之、田中絹代、京マチ子、1953年、96分、配給:大映脚本は、上田秋成の読本『雨月物語』の「浅茅が宿」と「蛇性の婬(いん)」の二編に、モーパッサンの『勲章』を加えて、川口松太郎と依田義賢が書いている。戦乱はストーリー上の題材として据えられ、むしろそこに、人間のカネに対する欲望や、妻の夫に対する思いやり、殺された者のこの世に対する怨念などを描くうえでの舞台となっている。当時の実力派俳優が出演し、ロケやセット撮影をうまく組み合わせ、豪華なつくりとなって...
2022.01.20 04:24映画 『きみの瞳が問いかけている』監督:三木孝浩、原案:映画「ただ君だけ」、脚本:登米裕一、撮影:小宮山充、照明:加藤あやこ、録音:石寺健一、美術:花谷秀文、編集:柳沢竜也、音楽:mio-sotido、主演:吉高由里子、横浜流星、2020年10月、123分、配給:ギャガタイトルの「瞳」は、「め」と読むようだ。篠崎塁(横浜流星)は、かつてキックボクサーとして将来を有望視されていたが、ある一件を契機に心を閉ざし、そうした過去を引きずったまま、今は酒屋の配達のアルバイトをしていたが、さらに駐車場の管理のアルバイトも始める。ある晩そこに、見知らぬ女性が、おいなりやゆで卵を持ってきて、きょうはこれをどうぞ、と言って塁に手渡した。その子は目が見えないようだ。その女性、柏木明香里(あかり、吉高由里子...
2022.01.19 15:19映画 『きみはいい子』監督:呉美保(お・みぽ)、原作:中脇初枝、脚本:高田亮、製作:川村英己、撮影:月永雄太、照明:藤井勇、録音:吉田憲義、美術:井上心平、編集:木村悦子、音楽:田中拓人、主演:高良健吾、2015年6月、121分、配給:アークエンタテインメント『そこのみにて光輝く』(2014年)に次ぐ呉美保の作品。小樽市をロケ先にしているが、小樽という街の特性には触れず、遠くに見える海、観覧車(2015年10月解体)、坂や通り、川沿いの公園がよく映される。岡野匡(高良健吾)は、新米の小学校教師、水木雅美(尾野真千子)は、夫が単身赴任のため、ひとり娘あやね(三宅希空)と暮らす若い母親、佐々木あきこ(喜多道枝)は、認知症の初期症状が出始めた独居老人である。これら三者を軸に、それ...
2022.01.18 15:38映画 『陸軍』監督:木下惠介、原作:火野葦平、脚色:池田忠雄、撮影:武富善男、美術:本木勇、録音:小尾幸魚、製作:松竹大船撮影所、後援:陸軍省、主演:田中絹代、笠智衆、1944年12月、87分、配給:映画配給社(白系)幕末から日清・日露の両戦争を経て上海事変に至る60年あまりを、小倉に住む家族の三代にわたる姿を通して描いた作品。陸軍省の依頼で「大東亜戦争3周年記念映画」として製作され、「陸軍省後援 情報局國民映画」という表記が冒頭に出る。ラストシーンの行軍のエキストラには、実際に出征する兵士たちが映されており、その多くは南方で戦死した、とされる。大東亜戦争の只中に作られた作品であり、戦意高揚、銃後の守りを固くする、という当時の日本国民に、天子の赤子としての意識を自覚...
2022.01.17 16:33映画 『夕やけ雲』監督:木下惠介、脚本:楠田芳子、撮影:楠田浩之、音楽:木下忠司、主演:田中晋二、望月優子、1956年4月、78分、配給:松竹東京の下町で魚屋を営む家の長男・秋本洋一(田中晋二)の物語である。いま二十歳の洋一は、母(望月優子)とともに、亡き父の跡を継ぎ、大忙しの毎日であるが、映画はすぐ四年前の過去に遡り、父(東野英治郎)が元気であったころの家族の状況となり、ラスト直前で現在に戻る。洋一には姉・豊子(久我美子)のほか妹・和枝(菊沖典子)がいる。店はそれほど繁盛しておらず、和枝の下にもうひとり乳飲み子がおり、一家六人は貧乏暇なしの生活を強いられている。豊子は現金な性格で、そんな貧乏を縁を切りたいと思い、裕福な須藤(田村高廣)と結婚するつもりであったが、須藤の...
2022.01.17 02:56映画 『稲妻』監督:成瀬巳喜男、原作:林芙美子、脚本:田中澄江、撮影:峰重義、編集:鈴木東陽、照明:安藤真之介、美術:仲美喜雄、音楽:斉藤一郎、主演:高峰秀子、1952年、87分、配給:大映小森清子(高峰秀子)は、母(浦辺粂子)は同じだがすべて父親の違う姉二人と兄ひとりをもち、都内ではとバスのガイドをしている。母と、二番目の姉・屋代光子(三浦光子)の住む家に同居している。そこへ長女・縫子(村田知栄子)が、清子の縁談をもちこむ。相手は、新規に商売を始める綱吉(小沢栄)という男であった。商才はあるらしいが、縫子に何か思惑があるらしく、また綱吉という男に品がなく、清子は全く乗り気になれなかった。光子の夫が急死し、家族が混乱するなかに、田上りつ(中北千枝子)が赤ん坊を背負っ...
2022.01.16 11:54映画 『ドクター・デスの遺産 BLACK FILE』監督:深川栄洋、原作:中山七里『ドクター・デスの遺産』、脚本:川崎いづみ、撮影:藤石修、編集:阿部瓦英、照明:吉角荘介、美術:瀬下幸治、音楽:吉俣良、主演:綾野剛、2020年、120分、配給:ワーナー・ブラザース映画ひと組の医者と看護婦が、延命不可能な末期患者を、自宅に往診して安楽死させている、という事件が発生し、警察は、刑事・犬養隼人(綾野剛)と、ペアを組む高千穂明日香(北川景子)を中心に、捜査を開始する。防犯カメラの映像や、依頼した家族らから聞き取って描いた似顔絵から、ある犯人像が浮かぶ。・・・・・・『白夜行』(2011年)の監督であるが、原作は尊重しつつも原作頼みになり過ぎるきらいがあり、本作品は映画としておもしろみがなかった。脚本が一人だが、独...