2019.05.25 02:41映画 『天国と地獄』監督:黒澤明、脚本:黒澤明、菊島隆三、久板栄二郎、小国英雄、原作:エド・マクベイン『キングの身代金』、撮影:中井朝一、斉藤孝雄、美術:村木与四郎、照明:森弘充、音楽:佐藤勝、主演:三船敏郎、仲代達矢、1963年、143分、モノクロ(一部カラー)、東宝。横浜市内の丘の上に、白亜の豪邸を構える製靴会社常務・権藤金吾(三船敏郎)の元に、息子を誘拐したとの電話が入り、身代金として三千万円を要求する。実は誘拐されたのは、権藤の息子ではなく、一緒に遊んでいた権藤付きの運転手・青木(佐田豊)の子供であった。会社内の株の占有をめぐり、五千万円の小切手を用意したばかりであったが、結局権藤は、子供を救うために、犯人の要求に応じることになる。・・・・・・黒澤明の現代劇として...
2019.05.24 11:39映画 『カジノ』監督:マーティン・スコセッシ、脚本:ニコラス・ピレッジ、マーティン・スコセッシ、撮影:ロバート・リチャードソン、編集:セルマ・スクーンメイカー、音楽:ロビー・ロバートソン、主演:ロバート・デ・ニーロ、シャロン・ストーン、ジョー・ペシ、1995年、178分、原題:Casino、ユニヴァーサル監督は、『タクシードライバー』(1976年)、『アフター・アワーズ』(1985年)などで知られるマーティン・スコセッシ。1970年代、ラスベガスのカジノ「タンジール」はギャングに支配されていた。意外なことに、仕切っているのはトラック運転手年金協会「チームスター」であったが、これを裏で操り、うまい汁を吸っているのはギャングをかかえる、一見しがない風貌の爺さんたちであった...
2019.05.22 11:23映画 『ラ・ラ・ランド』監督・脚本:デミアン・チャゼル、撮影:リヌス・サンドグレン、編集:トム・クロス、音楽:ジャスティン・ハーウィッツ、主演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、2016年、128分、原題: La La Landいわゆるミュージカル映画。第89回アカデミー賞で、『イヴの総て』(1950年)、『タイタニック』(1997年)に並ぶ史上最多14ノミネート(13部門)を受け、監督賞、主演女優賞、撮影賞、作曲賞 、歌曲賞、美術賞を受賞した。冒頭を飾る大空の下での大勢でのミュージカルや、踊りやシーンにふさわしい楽曲や歌、リアルからファンタジックなミュージカルへのなめらかな移行など、ひとつひとつのシーンに凝っており、こだわりを感じ、製作の苦労が偲ばれる。しかし、全体を通...
2019.05.19 10:40映画 『引き裂かれたカーテン』製作・監督:アルフレッド・ヒッチコック、脚本:ブライアン・ムーア、撮影:ジョン・F・ウォーレン、編集:バッド・ホフマン、音楽:ジョン・アディソン、主演:ポール・ニューマン、ジュリー・アンドリュース、1966年、128分、原題:Torn Curtain、ユニヴァーサル。東西冷戦下、原子物理学の教授・マイケル・アームストロング(ポール・ニューマン)は、学術会議に出席するため、婚約者である同じく物理学者のサラ・シャーマン(ジュリー・アンドリュース)と、ノルウェー海上をコペンハーゲンに向かっていた。船上で「本が届いた」という電報を受け取ったマイケルは、コペンハーゲンに着くや、ストックホルムに用があるからと、サラを置いて行こうとするが、不審に思ったサラが調べると...
2019.05.13 02:32映画 『遊星からの物体X』監督:ジョン・カーペンター、脚本:ビル・ランカスター、原作:ジョン・W・キャンベル Jr.『影が行く』(Who Goes There ?)、撮影:ディーン・カンディ、編集:トッド・ラムジー、音楽:エンニオ・モリコーネ、メイクアップ:ロブ・ボッティン、追加モンスター(ドッグモンスター)製作:スタン・ウィンストン、主演:カート・ラッセル、1982年、109分、原題:The Thing、ユニヴァーサル映画。1982年、南極大陸のアメリカ観測隊基地が舞台。大雪原を、一匹のシベリアン・ハスキーがノルウェーの隊員のヘリコプターから逃げてくる。ヘリからはその犬を狙って狂ったように銃が発射されるが、なかなか当たらない。犬は米基地の敷地内に入り込み、ノルウェー隊はヘリを...
2019.05.12 05:41映画 『羅生門』監督:黒澤明、原作:芥川龍之介、脚本:黒澤明、橋本忍、撮影:宮川一夫、編集:西田重雄、美術:松山崇、照明:岡本健一、録音:大谷巌、記録:野上照代、音楽:早坂文雄、主演:三船敏郎、森雅之、京マチ子、志村喬、千秋実、上田吉二郎、1950年、88分、モノクロ、大映。(2008年、デジタル復元による完全版DVD)土砂降りのなか、戦乱や天災により人心の荒廃した平安時代の羅城門(羅生門)に、杣(そま)売り(=焚き木売り)(志村喬)と若い法師(千秋実)が雨宿りをしている。二人は検非違使の前で、ある殺人に関する聴取を終えたあとであったが、その事件にかかわる三人の証言がそれぞれ異なることに、人間不信を感じていた。そこへ、ひとりの野卑な下人(上田吉二郎)が雨宿りに来て、二...
2019.05.08 12:05映画 『女系家族』監督:三隅研次、原作:山崎豊子、脚本:依田義賢(よだ・よしかた)、撮影:宮川一夫、照明:中岡源権、美術:内藤昭、録音:海原幸夫、音楽:斎藤一郎、主演:京マチ子、若尾文子、1963年、111分、カラー。大阪・船場の問屋の当主が死ぬ。当主には娘が三人おり、代々家付き娘が婿養子をとる女系(にょけい)家族だが、当主の死去を機に、三人はじめ、問屋に長年仕えてきた使用人までもが、膨大な遺産相続に一枚噛み、ぶんどり合戦が始まる。そこに当主の隠し女が登場し、娘たちは遺言相続とこの女への対処とが重なり、大混乱となる。欲にかられた人間の醜さや駆け引き、さらに男女の情を掛け合わせた痛快な娯楽作品。昭和38年の映画だが、カラー作品。矢島家の三人の娘は、出戻りの長女・藤代(京マ...
2019.05.07 02:11映画 『ベニスに死す』製作・監督:ルキノ・ヴィスコンティ、脚本:ルキーノ・ヴィスコンティ、ニコラ・バダルッコ、原作:トーマス・マン『ヴェニスに死す』、撮影:パスクワーレ・デ・サンティス、編集:ルッジェーロ・マストロヤンニ、音楽:グスタフ・マーラー、主演:ダーク・ボガード、伊仏合作、カラー、1971年、131分、原題:Death in Venice作曲家アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)は、静養のため、ベニスを訪れる。海岸沿いにある高級リゾートホテルには、貴族や貴婦人が多数集っていた。アッシェンバッハは夕刻、食事のためロビーに下りる。そこで新聞を広げてくつろぐが、大勢の客のなかに、美しい少年を見出す。その少年の美しさに惹かれ、海岸で休むときも、食堂にいるときも、その少年を目...
2019.05.06 04:34映画 『手紙』監督:生野慈朗、脚本:安倍照雄、清水友佳子、原作:東野圭吾『手紙』、撮影:藤石修、編集:川島章正、音楽:佐藤直紀、主演:山田孝之、沢尻エリカ、玉山鉄二、2006年、121分、ギャガ。武島剛志(つよし、玉山鉄二)は、武島直貴(なおき、山田孝之)の兄であり、兄弟には両親がいなかった。剛志はある日、直貴の大学進学の費用に当てようと空き巣に入るが、住人の老婦人に見つかり殺してしまう。剛志は終身刑となり千葉刑務所に服役しており、直貴との手紙のやりとりだけが楽しみであった。直貴は、自分のために強盗殺人を犯した剛志に申し訳なく思いつつ手紙の交流を続けているが、職場で、強盗殺人犯の弟ということがバレると、そのつど職場を変えざるを得なかった。この<受刑者の弟>というレッ...