映画 『カジノ』

監督:マーティン・スコセッシ、脚本:ニコラス・ピレッジ、マーティン・スコセッシ、撮影:ロバート・リチャードソン、編集:セルマ・スクーンメイカー、音楽:ロビー・ロバートソン、主演:ロバート・デ・ニーロ、シャロン・ストーン、ジョー・ペシ、1995年、178分、原題:Casino、ユニヴァーサル


監督は、『タクシードライバー』(1976年)、『アフター・アワーズ』(1985年)などで知られるマーティン・スコセッシ。


1970年代、ラスベガスのカジノ「タンジール」はギャングに支配されていた。意外なことに、仕切っているのはトラック運転手年金協会「チームスター」であったが、これを裏で操り、うまい汁を吸っているのはギャングをかかえる、一見しがない風貌の爺さんたちであった。彼ら親分衆の意向、特にその中心、リモ・ガッジ(パスクァーレ・カヤーノ)の命令は絶対的であった。


サム・ロススティーン(通称エース、ロバート・デ・ニーロ)は、賭博師としての腕を買われ、「タンジール」の事実上の経営者に就任する。サム自身は、賭け事を楽しむというより、まさに仕事ひと筋の男であった。親分衆はサムの用心棒として、ニコラス・サントロ(通称ニッキー、ジョー・ペシ)を付ける。

また、サムは「タンジール」に出入りする客、ジンジャー(シャロン・ストーン)にひと目惚れし、くどいた挙句、結婚する。だがジンジャーは、幼馴染でヒモのような男レスター(ジェームズ・ウッズ)と離れられず、時々密会してはカネを渡していた。・・・・・・


実話に基づく作品であり、ギャング、賭博、ドラッグ、暴力、殺し、などなど、不道徳てんこ盛りの内容で、救いもないが、それだけに映画だからこそ描き切ることのできる世界であり、映画のエンタメ性は余りある。


つくりのゴージャスさ、話のテンポの速さ、各俳優の演技力、カメラのフットワークのよさなど、マーティン・スコセッシの面目躍如となる大作だ。


全く賞などに無縁の作品だが、こんな映画こそ、一度は観ておくとよい。映画の楽しさとは、こういうものだと知るだろう。

当時の日本円で、製作費、約52億円、興行収入、約116億円を売り上げている。



日常性の地平

映画レビューを中心に、 身近な事柄から哲学的なテーマにいたるまで、 日常の視点で書いています。