2018.12.31 06:52映画 『ミツバチのささやき』監督:ビクトル・エリセ、脚本:ビクトル・エリセ、アンヘル・フェルナンデス・サントス、撮影:ルイス・カドラード、編集:パブロ・ゴンザレス・デル・アモ、音楽:ルイス・デ・パブロ、主演:アナ・トレント、1973年、99分、スペイン映画、原題:El espíritu de la colmena(=The Spirit of the Beehive)1940年のとある日、スペインの田舎町オユエロス村の公民館に、巡回映画がやってきて、そこで怪奇映画『フランケンシュタイン』を上映した。6歳のアナ(アナ・トレント)と、アナの姉・イサベル(イサベル・テリェリア)もそれを観た。アナの家族は、姉・イサベル、養蜂業を営む父・フェルナンド(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)、母...
2018.12.30 00:51映画 『愛の渦』監督・脚本・原作:三浦大輔、撮影:早坂伸、編集:堀善介、照明:神谷信人、美術:露木恵美子、音楽:海田庄吾、主演:池松壮亮、門脇麦、新井浩文、2014年、123分。第50回岸田國士戯曲賞を受賞した劇作家・三浦大輔の同名戯曲の映画化。登場人物は12人で、そのうち男4人、女4人が「舞台」の中心となる。着衣のシーンが18分しかない、とのキャッチフレーズのとおり、ほとんどのシーンは、からだにタオルを巻いているか、全裸のシーンだ。カネを払って、あるマンションの一室に、顔かたちも職業も異なる、他人同士の男女が4人ずつ集まる。そこでは、午後11時から翌朝5時までの約束で、乱交パーティが開かれるのだ。全員が集合したところで、店長が注意事項を話すと、いよいよ始まるが、初め...
2018.12.29 09:33映画 『トラッシュ! -この街が輝く日まで-』監督:スティーヴン・ダルドリー、原作:アンディ・ムリガン、脚本:リチャード・カーティス、撮影:アドリアーノ・ゴールドマン、編集:エリオット・グレアム、音楽:アントニオ・ピント、主演:ヒクソン・テヴェス、エドゥアルド・ルイス、ガブリエル・ワインスタイン、英・ブラジル合作、ポルトガル語・英語、カラー、2014年、114分、原題:Trash(ゴミ)3人の少年、ラファエル、ガルド、ラットを演じるそれぞれヒクソン・テヴェス、エドゥアルド・ルイス、ガブリエル・ワインスタインは、地元の住民からオーディションで選ばれている。この3人の少年たちが棲家にしている家のジュリアード神父は、マーティン・シーン、ボランティアとしてこの家の手伝いをしているオリヴィアは、ルーニー・マ...
2018.12.28 02:17映画 『ムカデ人間 2』監督・脚本:トム・シックス、製作:イローナ・シックス、トム・シックス、撮影:デヴィッド・メドウズ、編集:ナイジェル・デ・ホンド、音楽:ジェームズ・エドワード・バーカー、主演:ローレンス・R・ハーヴェイ、2011年、91分、モノクロ、オランダ・イギリス合作、英語、R18+、原題:The Human Centipede II (Full Sequence)前作『ムカデ人間』(2009年)と同じ監督で、長さもほとんど同じだが、こちらはカラーではない。ただ、前回とは比べものにならぬほど、グロテスクこの上ない作品だ。主演マーティン役のローレンス・R・ハーヴェイ(現在48歳)はイギリスの俳優で、この作品で初めて世界的に有名になったが、本国では子供向けの番組に出るな...
2018.12.27 12:18映画 『狂恋』監督:ジョルジュ・ラコンブ、原作:ピエール・ルネ・ヴォルフ、脚色:ピエール・ヴェリ、撮影:ロジェ・ユベール、音楽:マルセル・ミルーズ、主演:マレーネ・ディートリッヒ、ジャン・ギャバン、1947年(昭和22年)、103分、モノクロ、フランス映画、原題:Martin Roumagnac(マルタン・ルーマニャック、ジャン・ギャバンの役名)、英訳版:THE ROOM UPSTAIRS(二階のへや)フランスの田舎町で小さな穀物商を営んでいるフェランには、姪のブランシュ(マレーネ・ディートリッヒ)がおり、ブランシュは店の二階で生活していた。店にはブランシュの好みで、小鳥まで売っていた。ブランシュは、地元の領事との間に結婚話が上がっていたが、領事には病身の妻がおり、...
2018.12.26 06:07映画 『人間の條件 完結篇』監督:小林正樹、脚本:松山善三、小林正樹、稲垣公一、撮影:宮島義勇、編集:浦岡敬一、美術:平高主計、音楽:木下忠司、主演:仲代達矢、1961年、189分、モノクロ。五味川純平の『人間の條件』(三一新書、1956~58年)を映画化した作品の三作目で、完結編となる。第一部・純愛篇/第二部・激怒篇(1959年1月15日)、第三部・望郷篇/第四部・戦雲篇(1959年11月20日)につづく第五部・死の脱出篇/第六部・曠野の彷徨篇(1961年1月28日)に当たる。第一部から第六部までは、9時間31分である。五味川純平は後に、『戦争と人間』(三一新書、1965~82年)を書き、これも山本薩夫監督により日活で映画化(1970~73年、9時間23分)されている。&nbs...
2018.12.25 10:02映画 『ノックは無用』監督:ロイ・ウォード・ベイカー、脚本:ダニエル・タラダッシュ、原作:シャーロット・アームストロング、撮影:ルシアン・バラード、編集:ジョージ・A・ギッテンス、音楽:ライオネル・ニューマン、主演:リチャード・ウィドマーク、マリリン・モンロー、1952年、76分、原題:Don't Bother to Knockニューヨークのホテルが舞台で、全編が室内劇。ホテルのバーの歌手として歌うリン・レスリー(アン・バンクロフト)は、宿泊中の恋人ジェド・タワーズ(リチャード・ウィドマーク)との結婚に踏み切れず、一方的に別れ話をもちかけていた。ジェドはバーに来て、リンとやり直そうと話すが、話がつかず、へやに戻ると、中庭をはさんだ向かいのへやに、ネル・フォーブス(マリリン・...
2018.12.24 11:52映画 『紳士は金髪がお好き』監督:ハワード・ホークス、原作:ジョセフ・フィールズ、アニタ・ルース、脚本:チャールズ・レデラー、 撮影:ハリー・J・ワイルド、音楽:ライオネル・ニューマン、主演:マリリン・モンロー、ジェーン・ラッセル、1953年7月、91分、カラー、原題:Gentlemen Prefer Blondes髪がブルーネットのドロシー( ジェーン・ラッセル)と、親友のブロンドの ローレライ(マリリン・モンロー)という、二人のダンサー主演のミュージカル映画。ストーリー仕立ては実にシンプルであり、歌あり・恋あり・笑いありの見て鮮やか・聞いて楽しいエンターテイメントになっている。終わってみると91分とは思えないが、さすがにハワード・ヒューズの狙いは的を射ている。音楽のライオネル...
2018.12.23 02:23映画 『上海陸戦隊』監督:熊谷久虎、製作:森田信義、脚本:沢村勉、後援:海軍省、指導:海軍軍事普及部、監修:山口肇、田代格(共に当時の海軍少佐)、撮影:鈴木博、編集:今泉善珠、音楽:内藤清吾、演奏:海軍軍楽隊、主演:大日方傳(おおひなた・でん)、1939年(昭和14年)、89分。当時19歳の原節子も出ている。監督・熊谷久虎は、原の義理の兄に当たる。第二次上海事変(1937年、昭和12年)での海軍上海特別陸戦隊の戦いの様子をセミ・ドキュメンタリータッチで描く。上海海軍特別陸戦隊西部派遣中隊長・大山勇夫海軍中尉と斎藤與蔵一等水兵が中国兵に射殺され、中国正規軍は上海に詰め寄っていた。上海・虹口(ホンキュー)地区にいた陸戦隊は、中国の執拗な攻撃を受け、増援部隊が到着するまでの二ヵ...
2018.12.22 10:06映画 『イレブン・ミニッツ』監督・脚本:イエジー・スコリモフスキ、製作:エヴァ・ピャスコフスカ、イエジー・スコリモフスキ、撮影:ミコワイ・ウェプコスキ、編集:アグニェシュカ・グリンスカ、音楽:パヴェウ・ムィキェティン、主演:ヴォイチェフ・メツファルドフスキ、ポーランド・アイルランド合作、ポーランド語、2015年、81分、原題:11 Minutイエジー・スコリモフスキは、23歳のとき、28歳のロマン・ポランスキーに請われ、二人で同監督処女作となる『水の中のナイフ』(1962年)の脚本を書き、ヴェネツィア国際映画祭・国際映画批評家連盟賞を受賞している。同作品は、第36回アカデミー賞外国語映画賞にポーランド代表作品として史上初めて出品され、ノミネートされるに至った。言われてみれば、この...
2018.12.21 06:41映画 『吸血鬼ボボラカ』監督:マーク・ロブソン、製作:ヴァル・リュートン、脚本:ジョセフ・ミッシェル、アーデル・レイ、撮影:ジャック・マッケンジー、音楽:リー・ハーライン、主演:ボリス・カーロフ、エレン・ドリュー、1945年、アメリカ映画、72分、モノクロ、原題:Isle of the Dead(死の島)吸血鬼は出てこない。お馴染み、日本の配給会社の受け狙いである。ボボラカはキリシア神話にあるという悪霊で、人の心に棲みついて、その人を殺してしまうと言われる。見るきっかけは、監督のマーク・ロブソンであった。パニック映画として絶賛された『大地震』(1974年)の監督として覚えていた。まさか同一人物と思わなかった。監督デビューして二年後、32歳のときのサスペンスだ。ちなみに『大地震...
2018.12.20 09:56映画 『永遠の0』監督・VFX:山崎貴、原作:百田尚樹『永遠の0』(太田出版)、脚本:山崎貴、林民夫、撮影:柴崎幸三、編集:宮島竜治、美術:上條安里、照明:上田なりゆき、録音:藤本賢一、音楽:佐藤直紀、主演:岡田准一、2013年、144分、東宝。描きたいことはわかったが、映画として楽しめたかというと、そうでもなかった。原作は読んでいないのだが、その映画化というなら、映画を観て、正直なところ、『永遠の0』の「0」の意味がわからない。まさかゼロ戦そのものではないだろう。「0」は何かの象徴だ。いろいろ想像や解釈はできるが、それが映画からはっきりとしたメッセージとして伝わってこない。大東亜戦争を舞台とし、ゼロ戦操縦の妙手・宮部久蔵という人物を設定しながら、ここに描きたかったのは...