監督:熊谷久虎、製作:森田信義、脚本:沢村勉、後援:海軍省、指導:海軍軍事普及部、監修:山口肇、田代格(共に当時の海軍少佐)、撮影:鈴木博、編集:今泉善珠、音楽:内藤清吾、演奏:海軍軍楽隊、主演:大日方傳(おおひなた・でん)、1939年(昭和14年)、89分。
当時19歳の原節子も出ている。監督・熊谷久虎は、原の義理の兄に当たる。
第二次上海事変(1937年、昭和12年)での海軍上海特別陸戦隊の戦いの様子をセミ・ドキュメンタリータッチで描く。
上海海軍特別陸戦隊西部派遣中隊長・大山勇夫海軍中尉と斎藤與蔵一等水兵が中国兵に射殺され、中国正規軍は上海に詰め寄っていた。上海・虹口(ホンキュー)地区にいた陸戦隊は、中国の執拗な攻撃を受け、増援部隊が到着するまでの二ヵ月余りを、陣地死守して、最後の一兵までもが戦った。
現場の少佐二人が監修に当たっていることもあり、第一線のようすがよくわかる。合間合間に、海軍省の撮ったフィルムが挿入され、リアルな作品となっている。
中隊長・岸中尉(大日方傳)を中心とし、戦闘地域にいる第一線の部隊のやりとりを見られる貴重な映画だ。
日本軍には、常に平和的解決を念頭に置きつつ、ぎりぎりまで攻撃を開始しない一貫した姿勢があり、土地の者らへの被害が及ばないよう留意しているところや、いざ戦闘になれば、そうした銃後の女性らや在郷軍人らが、日本軍のために動いていたようすもよくわかる。
海軍省が後援していることもあり、国策映画的側面ももつが、日本軍の統制のとれた動きや、軍人としての清冽さを見ることができるのも貴重だ。
多くの日本人に観てもらいたい映画だ。
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