2018.11.30 02:25映画 『女はバス停で服を着替えた』監督:小沼勝、脚本:長谷川弓子、安倍照男、村上修、撮影:鈴木耕一、編集:矢船陽介、照明:矢部一男、美術:山崎輝、音楽:西岡俊明、2002年、99分。まだまだ自然の残る北海道鹿追町が舞台。製作には鹿追町が全面的に協力している。若草色のコートを羽織った一人の女、瑞枝(みずえ、戸田菜穂)がバスを降りる。彼女は、交通事故で死んだ夫・匡(ただし)の兄・充(みつる、遠藤憲一)に会いに、東京から突然やってきたのだった。二人は東京で、サルサにコンテストに出て、賞までもらったことがあった。充は東京での生活を捨て、蕎麦職人として人生を再スタートするべく、故郷の鹿追に戻ってきたところであった。・・・・・・冒頭にセピアカラーで、馬の世話をする神田日勝の姿が描かれる。彼は実在し...
2018.11.29 02:16映画 『ディーバ』監督:ジャン=ジャック・ベネックス、脚本:ジャン=ジャック・ベネックス、ジャン・ヴァン・アム、原作:デラコルタ、撮影:フィリップ・ルースロ、編集:マリ=ジョゼフ・ヨヨット、音楽:ウラジミール・コスマ、アルフレード・カタラーニ、主演:フレデリック・アンドレイ、1981年、118分、フランス映画、原題:DivaずっとDVDが出なかった映画だったが、ようやく30年ぶりに2011年9月に発売された。発売会社に感謝したい。1981年ころといえば、それまで、日本に上陸したヒッチコックの映画リバイバル特集で、『裏窓』(1954年)や『めまい』(1958年)などを、上映館が変わるたびに都内を飛び回っていた。みんな今ではなくなった映画館だ。そこにこの映画を観た。この映画...
2018.11.28 13:57映画 『極道の妻(おんな)たち』監督:五社英雄、原作:家田荘子、脚本:高田宏治、音楽:佐藤勝、主演:岩下志麻、かたせ梨乃、世良公則、成田三樹夫、1986年、120分、東映。東映ヤクザ映画路線の延長線上に出てきた作品。極妻シリーズとなる第一作。『鬼龍院花子の生涯』(1982年)の力強さはないが、組長の妻に焦点を当てた脚本で、男中心の映画とはまた別の味わいがある。『226』(1989年)のようなふやけた出来になるより、よほどいい。シリーズのその後の作品は、監督が替わっている。その後のシリーズもそれぞれにおもしろいが、脚本、カメラワーク、照明、キャスト、演出、メイク、音楽といった映画的要素という点からは、この第一作はかなり充実しており、キレのよい作品に仕上がっている。成田三樹夫をはじめ、脇...
2018.11.27 01:49映画 『新幹線大爆破』監督:佐藤純弥、脚本:小野竜之助・佐藤純弥、撮影:飯村雅彦・山沢義一・清水政郎、編集:田中修、美術:中村修一郎・桑名忠之、録音:井上賢三、照明:川崎保之丞・梅谷茂、音楽:青山八郎、主演:高倉健、宇津井健、1975年、152分、カラー、東映。ある日、国鉄に、東京駅を出発した<ひかり109号>に爆弾を仕掛けた、という電話がかかってくる。しかも、爆弾は、走行速度が毎時80kmを下回ると、自動的に爆発するという。初め、イタズラ電話のひとつかも知れないと思っていた国鉄は、犯人が言ったように、実際に事前に、夕張で列車爆破が実施されたことから、警察と連絡を取り合い、犯人との行き詰まる駆け引きが始まる。・・・・・・パニック映画というものには、突っ込みどころはいくらでも...
2018.11.26 02:39映画 『ブラックサイト』監督:グレゴリー・ホブリット、脚本:ロバート・フィヴォレント、マーク・R・ブリンカー、アリソン・バーネット、撮影監督:アナスタス・ミコス、編集:デヴィッド・ローゼンブルーム、美術:ポール・イーズ、音楽:クリストファー・ヤング、主演:ダイアン・レイン、ビリー・バーク、2008年、100分、原題:untraceable(追跡不可能な) FBIでサイト犯罪を担当する捜査官ジェニファー(ダイアン・レイン)に、新しい仕事が舞い込む。人をじわじわ殺していくようすがネット上のライブ映像として配信されており、その犯人を突き止めることであった。がしかし、犯人への手がかりは、もはや追跡不能に近かった。さらに第二の犠牲者が出る。世界中でその殺人サイトのライブ映像を見ると、そ...
2018.11.25 01:29映画 『鬼畜』監督:野村芳太郎、原作:松本清張、脚本:井手雅人、撮影:川又昂(かわまた・たかし)、編集:太田和夫、音楽:芥川也寸志、主演:緒形拳、岩下志麻、1978年、110分、松竹。埼玉県川越市で印刷業を営む宗吉(緒形拳)は、妻・梅(岩下志麻)との間に子がなかった。実は宗吉には、菊代(小川真由美)という料理屋の女中をしている妾がおり、七年越しの関係で、三人の子までいた。事業がうまく行かず、宗吉が菊代の渡す生活費も滞ってきた。菊代は、三人の子を連れ、いよいよ、宗吉の家に乗り込んできた。宗吉に愛人がいたことや、まして子が三人もいるなど夢にも知らなかった梅は激怒し、宗吉を罵った。翌朝、菊代の姿はなく、三人の子、長男・利一、長女・良子、次男・庄二は置き去りにされた。三人に...
2018.11.24 02:09映画 『アーティスト』監督・脚本:ミシェル・アザナヴィシウス、撮影:ギョーム・シフマン、編集:アン=ソフィー・ビオン、ミシェル・アザナヴィシウス、音楽:ルドヴィック・ブールス、主演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、2011年、101分、モノクロ、フランス映画、サイレント、字幕:英語、原題:The Artist1927年、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、無性映画の大スターであった。ある映画のお披露目で、大勢の記者たちやファンに囲まれるなか、そこに来ていたペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)と知り合う。ペピーもその世界を目指しており、ダンスができることを活かし、エキストラなどの仕事をするうち、ジョージからアドバイスを受け、右頬につけぼくろをする。 ...
2018.11.23 02:16映画 『裸足の伯爵夫人』監督・脚本:ジョセフ・L・マンキウィッツ、撮影:ジャック・カーディフ、編集:ウィリアム・ホーンベック、音楽:マリオ・ナシンベーネ、主演:ハンフリー・ボガート、エヴァ・ガードナー、ロッサノ・ブラッツィ、1954年、131分、カラー、原題:The Barefoot Contessaハンフリー・ボガート52歳、エヴァ・ガードナー31歳のときの作品。映画監督のハリー(ハンフリー・ボガート)は、新たな女優を探すうち、マドリッドのカフェで、マリア(エヴァ・ガードナー)を見つける。彼女は貧しく、それもあり、裸足で踊っていた。ハリーはスカウトし、心配するマリアをようやく説き伏せて、イタリアのチネチッタに連れてくる。ハリーの映画は大ヒットし、マリアはその美貌もあってスタ...
2018.11.22 05:01映画 『評決』監督:シドニー・ルメット、脚本:デヴィッド・マメット、原作:バリー・リード、撮影:アンジェイ・バートコウィアク、編集:ピーター・フランク、音楽:ジョニー・マンデル、主演:ポール・ニューマン、ジャック・ウォーデン、1982年、129分、原題:The Verdict(評決)シドニー・ルメットは『十二人の怒れる男』(1957年)でデビューし、社会派映画の監督と言われ、この映画も、まさしく、その延長線上に登場したと言える。弁護士フランク(ポール・ニューマン)は、仕事も回って来ず、酒びたりの日々を送っていた。そんな彼に、先輩弁護士であるミッキー(ジャック・ウォーデン)が仕事をもってくる。依頼人の女性によれば、その姉が、医師による出産時の医療ミスにより、植物人間に...
2018.11.21 08:32映画 『ある夜のできごと』監督・脚本・編集:鈴木聖史(さとし)、撮影:岩見周平、美術:今井伴也、岩瀬直美、音楽:山田京子、主演:秦秀明、松尾敏伸、内山信二、2010年、74分、かっちゃん(秦秀明)は東京で雑貨屋をしているが借金もあり客もあまり来ない。ある日、地元・山梨で、同級生とよく寄っていた居酒屋のオヤジの葬式に出るため、喪服を着たまま出かける。葬式の帰りに、ヤスタカ(松尾敏伸)、ケンさん(内山信二)と会い、オヤジを偲ぶということで三人で飲むことになる。三人とも32歳になっていた。七年ぶりに会うことになったにもかかわらず、それぞれがいろいろなことを言い合う。・・・・・・この三人の話と並行して、タイムカプセルを持った女子高生のエピソードが描かれる。三人の通っていた学校の男子二人...
2018.11.20 04:06映画 『悪童日記』監督:ヤーノシュ・サース、 原作:アゴタ・クリストフ、脚本:アンドラーシュ・セケール、ヤーノシュ・サース、撮影:クリスティアン・ベルガー、編集:シルビア・ルセヴ、音楽:ヨハン・ヨハンソン、主演:アンドラーシュ・ギーマント、ラースロー・ギーマント(双子)、2013年、111分、ドイツ・ハンガリー合作、ハンガリー語、原題:A nagy füzet(分厚い冊子)1944年8月、ハンガリーの田舎町が舞台。ドイツ軍の空襲が激しくなってきたため、双子の少年の母親は、彼女の母親の住む田舎に、二人を疎開させる。父親は軍人として家を出る。双子にとっては祖母に当たる老婆であるが、娘とはほとんど交流のなかったせいか、双子の母を口汚く罵り、双子たちにも辛く当たる。それでも双子...
2018.11.19 02:10映画 『勝手にしやがれ』監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール、原案:フランソワ・トリュフォー、撮影:ラウール・クタール、編集:セシル・ドキュジス、リラ・ハーマン、音楽:マルシャル・ソラル、主演:ジャン=ポール・ベルモンド、1959年、90分、モノクロ、フランス映画、原題:À bout de souffle / Breathless(息切れ、息つくひまもない)ミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)は、マルセイユの港で高級車を盗み、パリへ向かう途中、追いかけてきた白バイ警官を、車にあった拳銃で射殺してしまう。パリへ来ても文無しのミシェルは、アメリカ系新聞社のスタッフの仕事をしているアメリカ人・パトリシア(ジーン・セバーグ)と会い、自由な時間を過ごすが、パトリシアは仕事場に来た刑...