2020.06.29 12:57書評 大下英治『小池百合子の大義と共感』本書は、2020年7月11日初版発行であるが、新宿紀伊国屋書店店頭で手に入れることができた。小池百合子について、28年間に及び、取材を続けてきているルポライター大下英治(76歳)の著書である。小池本人からの直接取材を中心に、その裏付けとなる周辺取材により、小池の生い立ちから、直近のコロナ対策、都知事選立候補までを網羅している。章立ては以下のごとく11章、397ページに及び、厚さ2.4cm、四六判の図書である。序章 小池都知事直撃!「東京」再構築第一章 東京、新型コロナとの闘い第二章 小池百合子の源流第三章 通訳からキャスターへ第四章 華麗なる転身の先第五章 権力の階段第六章 生き馬の目を抜く第七章 崖から飛び降りる覚悟第八章 破竹の都民ファーストと同...
2020.06.14 12:52アニメ映画 『雲のむこう、約束の場所』監督・脚本・原作・撮影・編集:新海誠、主な声の出演:吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香、音楽:天門、2004年、91分、配給:コミックス・ウェーブ戦後の架空の日本が舞台。1996年、日本は、今の津軽海峡で南北に分断されていた。共産国「ユニオン」は、旧北海道を「エゾ」として支配下に置き、その中央に、はるか天にまで届くかと思われるような白い塔を建造した。この塔は青森からよく見えたが、その目的や機能については、誰も知らなかった。津軽半島に住む中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は、この高く聳える塔に関心をもち、いつかは飛行機で国境を越え、塔まで飛んで行く秘密の計画を立てていた。そのために、ヴェラシーラという二人乗りの飛行機を、山の上の廃駅の格納庫で少しずつ組み立てていた...
2020.06.13 05:32映画 『エル・スール』監督・脚本:ビクトル・エリセ、原作::アデライダ・ガルシア・モラレス、撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ、編集:パブロ・ゴンザレス・デル・アモ、音楽:エンリケ・グラナドス、主演:オメロ・アントヌッティ、ソンソレス・アラングーレン、イシアル・ボリャン、1983年、95分、スペイン映画、原題:(El sur=南)これも、かつて、シネ・ヴィヴァン六本木で観た映画だ。スペイン北部の山村が舞台。その山麓に一軒だけポツンと建つ家に、8歳の少女エストレリャ(ソンソーレス・アラングレン)は、父アグスティン(オメロ・アントヌッティ)、母フリア(ローラ・カルドナ)と住んでいた。お手伝いに、カシルダ(マリア・カーロ)もいた。家の屋上には、カモメの形をした彫刻が立っている。訪れる...
2020.06.11 06:36アニメ映画 『ぼくらの7日間戦争』監督:村野佑太、脚本:大河内一楼、原作:宗田理『ぼくらの七日間戦争』、音楽:市川淳、主な声の出演:北村匠海、芳根京子、2019年、88分、配給:ギャガ、KADOKAWA北海道のとある旧炭鉱町が舞台。高2の鈴原守は、歴史ものの本を読むのが好きで、頭脳もそこそこ優秀であるが、クラスメートとは馴染めないような孤立した存在であった。守は、幼いときから、隣の家に住む千代野綾に、密かに好意をもっていた。夏休みに入る直前、綾が、無理矢理父親の車に乗せられそうになっているのを目撃し、守るはとっさに綾の手を引いて逃げ出してしまう。地元の議員である父親が、自分の都合で東京に引っ越すことになったので、いやがる綾も連れて行こうとしたのだった。一週間後の誕生日は、せめてこの町で...
2020.06.10 11:06映画 『屍人荘の殺人』監督:木村ひさし、脚本:蒔田光治、原作:今村昌弘『屍人荘の殺人』、撮影:葛西誉仁、編集:富永孝、音楽:Tangerine House、主演:神木隆之介、2019年、119分、配給:東宝神紅(しんこう)大学のミステリー愛好会のメンバー、葉村譲(神木隆之介)と明智恭介(中村倫也)は、探偵少女と噂される剣崎比留子(浜辺美波)と知り合い、映画研究会夏合宿に誘われ、参加することになる。合宿先の「紫湛荘」は、古風ではあるが瀟洒な洋館であった。エレベーターもあり、各部屋の施錠は、カードキーが使われていた。合宿初日の夜、近くで大々的に開かれていたイベントの参加者たちが、バタバタ倒れる。やがて、死んだはずの者が生き返り、ゾンビのように、あたりをヨロヨロ歩き始める。徐々に...
2020.06.06 05:44映画 『ある少年の告白』監督・脚本:ジョエル・エドガートン、原作:ガラルド・コンリー『Boy Erased: A Memoir』、撮影:エドゥアルド・グラウ、編集:ジェイ・ラビノウィッツ、音楽:ダニー・ベンシ、ソーンダー・ジュリアーンズ、主題歌:『Revelation』(トロイ・シヴァン)、主演:ルーカス・ヘッジズ、ニコール・キッドマン、ラッセル・クロウ、2018年、115分、原題:Boy Erased(=消された少年)バプテスト教会の牧師であるマーシャル(ラッセル・クロウ)とナンシー(ニコール・キッドマン)を両親にもつ19歳の大学生ジャレッド・エモンズ(ルーカス・ヘッジズ)は、ゲイであることがわかり、両親と衝突する。マーシャルは、教会が支持する同性愛者の転換プログラムに参加...
2020.06.05 02:06アニメ映画 『天気の子』監督・脚本・原作・絵コンテ・編集:新海誠、製作:市川南、川口典孝、撮影:津田涼介、音楽:RADWIMPS、主な声の出演:醍醐虎汰朗、森七菜、2019年、114分、東宝。なぜ、ここに、このキャラが?といった感じで、『君の名は。』のキャラクターが、ところどころに出てくる。16歳の森嶋帆高(もりしま・ほだか)は、家出をして、東京に向かっている。高1で身分証明書もなく、バイトもできない。メシを食うカネにも困り、ハンバーガーショップでコーヒーだけ飲み、落ち込んでいるところに、これ上げる、と言って、ハンバーガーを置いていった店員がいた。それが、天野陽菜(あまの・ひな)であった。一年前、陽菜は、病床にある母親を看病をしている病室の窓から、雨模様の外を見ていた。すると...
2020.06.04 09:23映画 『存在のない子供たち』監督:ナディーン・ラバキー、脚本:ナディーン・ラバキー、ジハード・ホジェイリ、ミシェル・ケサルワニ、ジョルジュ・カッバス、ハーレド・ムザンナル、撮影:クリストファー・アウン、編集:コンスタンティン・ボック、音楽:ハーレド・ムザンナル、主演:ゼイン・アル・ラフィーア、2018年、126分、レバノン映画、アラビア語、原題:کفرناحوم(=不貞)舞台は、レバノンの首都ベイルートの貧民街である。シリア難民の子ゼイン(ゼイン・アル・ラフィーア)は、子沢山の家の長男に生まれ、現在12歳くらいである。くらい、というのは、両親が出生届を出さず、はっきり記憶もしていないためである。ある日、ゼインは、原告として、女性弁護士ナディーン(ナディーン・ラバキー監督自身)に付...
2020.06.01 12:06アニメ映画 『名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)』総監督・山本泰一郎、監督:静野孔文、脚本:古内一成、原作:青山剛昌、撮影:西山仁、編集:岡田輝満、音楽:大野克夫、主題歌:B'z「Don't Wanna Lie」、主な声の出演:高山みなみ、2011年、109分、東宝。劇場版『名探偵コナン』シリーズのレビューは、二回めだ。東日本大震災の起きた2011年(平成23年)3月11日のひと月後の4月16日に、公開されている。本作品は、「<コナン劇場版>固有のファン」からは、あまり評価されていないようだ。その批判の多くは、ストーリーに対するものだ。アニメ映画とはいえ、映画の一ジャンルであり、映画の一本として観る限り、それほど難癖をつけるような内容でもない。映画とは映像なり、というのが映画の基本であり、でなければ、...