監督:木村ひさし、脚本:蒔田光治、原作:今村昌弘『屍人荘の殺人』、撮影:葛西誉仁、編集:富永孝、音楽:Tangerine House、主演:神木隆之介、2019年、119分、配給:東宝
神紅(しんこう)大学のミステリー愛好会のメンバー、葉村譲(神木隆之介)と明智恭介(中村倫也)は、探偵少女と噂される剣崎比留子(浜辺美波)と知り合い、映画研究会夏合宿に誘われ、参加することになる。合宿先の「紫湛荘」は、古風ではあるが瀟洒な洋館であった。エレベーターもあり、各部屋の施錠は、カードキーが使われていた。
合宿初日の夜、近くで大々的に開かれていたイベントの参加者たちが、バタバタ倒れる。やがて、死んだはずの者が生き返り、ゾンビのように、あたりをヨロヨロ歩き始める。徐々に数が増え、多数のゾンビ集団は、「紫湛荘」に泊まる葉村たちを襲いに来る。だが、一部のゾンビたちは、「紫湛荘」に戻る途中の明智を捕えてしまった。・・・・・・
映像については、監督が、堤幸彦の作品に参加してきたせいか、『池袋ウエストゲートパーク』のような撮り方や編集が随所に見られ、撮影・編集という点では、テキペキした処理が気持ちいい。
問題はやはり、ストーリーのほうにある。物語展開がダメというわけではない。メリハリがないから、豪華なキャストや、繊細な推理ものにしては、エンタメ性が削がれてしまっているのだ。殺人の動機や、その謎を解くあたりも、特に問題ではないのだが、きちんとし過ぎている。
事実だけは見せるが、犯人特定を最後にするために、犯人を推測させる材料を一切隠し、最後に一挙に剣崎の謎解きで解説する。この方式は、いかにも教科書的な展開で興ざめである。葉村は推理にほとんど参加していないので、少なくとも観ている側には、多少材料を与えておかないと、観る側の優越感を刺激しないので、途中から冗長に感じてしまう。
もともと、コメディタッチの推理ものなのだろうから、その瞬間が楽しければいいのだろうが、総花的に過ぎて、核心もオチもない仕上がりになってしまっている。
外食の前後に、友達と見るぶんにはいいのかも知れない。または、出演者で観るというファンも多いのだろう。
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