監督・脚本:ジョセフ・L・マンキーウィッツ、製作:ダリル・F・ザナック、撮影:ミルトン・クラスナー、編集:バーバラ・マクリーン、音楽:アルフレッド・ニューマン、主演:ベティ・デイヴィス、アン・バクスター、1950年、138分、モノクロ、20世紀フォックス、原題:All About Eve
アメリカ演劇界では栄誉ある賞が、新進女優イヴ・ハリントン(アン・バクスター)に与えられた。そのダイニングルームに集う人々の中には、イヴの正体を知る関係者数人がいて、それぞれに複雑な表情を浮かべていた。演劇評論家アディソン・ドゥイット(ジョージ・サンダース)の声を借りて、彼女ら5人が紹介される。
演劇界の大物女優でイヴが慕い、やがて踏み台にもしていくマーゴ・チャニング(ベティ・デイヴィス)、製作のマックス・フェビアン(グレゴリー・ラトフ)、脚本家でマーゴと愛し合う仲のビル・サンプソン(ゲイリー・メリル)、演出家のロイド・リチャーズ(ヒュー・マーロウ)、その妻カレン・リチャーズ(セレステ・ホルム)、・・・
以上7人による舞台劇のような映画であり、そこに、まだ有名でないころのマリリン・モンローが二箇所で登場する。
カレンは実際に最初にイヴに会った人物であり、彼女の回想から本編に入っていく。
マーゴのファンであり、舞台女優になるのを夢見て田舎から出てきたイヴは、マーゴに取り入り、やがてマーゴの代役をこなし、それが評価されると、マーゴをも蹴落としてその役を奪おうとしていく。まさに、アメリカ演劇界の舞台裏を、露骨に描写した作品だ。
ほとんどが室内での撮影、つまりセットでの撮影となっている。元々は小説であったものをマンキーウィッツが脚本にしたのだが、舞台劇というよりさらに会話劇であり、会話の応酬シーンも多い。演劇人のドラマであることを意識しているのか、洒脱でウイットに富みつつも、書かれた文章のような長い台詞も多く、日本語字幕が追い付いていない。字幕では訳されにくいニュアンスの台詞も多い。英語自体はきれいに発音されているので、ヒアリングの得意な人は字幕なしで観たほうがいいだろう。
室内での会話が中心となるので、当然のようにカメラどりは多彩である。マーゴの自宅の居間、階段、寝室などもよく出てくるが、それらもカメラを意識して、あらかじめ用意された設定だろう。マーゴやイヴを撮る際にも、女優をいろいろな角度、いろいろな姿勢でとらえている。
常に画面に人物が映っている映画だが、しっかりとエンタメ性は保てれている。カメラとヒアリングの勉強をするにも最適な映画だ。
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