2020.02.28 15:26映画 『ファニーとアレクサンデル』監督・脚本:イングマール・ベルイマン、製作:ヨルン・ドンネル、撮影:スヴェン・ニクヴィスト、編集:シルビア・インゲマーション、美術:アンナ・アスプ、衣装:マリク・ボス、音楽:ダニエル・ベル、主演:バッティル・ギューヴ、ペルニラ・アルヴィーン、1982年、311分、スウェーデン、フランス、西ドイツ合作、スウェーデン語、原題:Fanny och Alexander日本での公開当時、岩波ホールに観に行った作品。一日に二回の上映であった。監督のイングマール・ベルイマンが、自身の故郷である地方都市ウプサラを舞台に撮った映画で、ベルイマンの自伝的作品と言われる。第56回アカデミー賞において外国語映画賞、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞を受賞している作品。5時間以上に...
2020.02.26 15:38映画 『氷点』監督:山本薩夫、 脚本:水木洋子、原作:三浦綾子、撮影:中川芳久、 編集:中静達治、照明:渡辺長治、美術:間野重雄、音楽:池野成、録音:須田武雄、主演:若尾文子、安田道代、1966年、107分、白黒、大映。 クリスチャン作家・三浦綾子の小説の映画化。戦後間もない、昭和21年(1946年)の話。北海道・旭川市の医師で病院の経営者・辻口啓造(船越英二)が自宅に戻ると、妻・夏枝(若尾文子)はピアノを弾いていた。テーブルには、二人分のコーヒーカップがあり、どちらも飲み干されていた。気の小さい啓造は、とっさに、夏枝に詰問することができない。密会の相手は、同じ病院内で眼科を開いている村井靖夫(成田三樹夫)ということは察しがついていた。夫婦には、...
2020.02.25 13:53映画 『卍』監督:増村保造、脚本:新藤兼人、原作:谷崎潤一郎『卍』(1928~1930年)、撮影:小林節雄、編集:中静達治、音楽:山内正、主演:若尾文子、岸田今日子、1964年、90分、カラー、大映。柿内園子(岸田今日子)が、氏名不詳の「先生」(三津田健)という人物に対し告白をする、という形式で話が進む。「先生」は、顔は映るが、セリフはない。夫・柿内孝太郎(船越英二)が弁護士事務所を開いたことで、時間のできた園子は、美術学校に通い始めた。ある日、生徒たちが、楊柳観音の格好をした女性モデルのデッサンを描いていると、校長(山茶花究)がやってきて、園子の絵はうまいが、顔が似ていないと評する。園子はこれに対し、自分の考えを言い返す。実は、園子には、同じ学校で知り合った徳光...
2020.02.23 15:09映画 『質屋』監督:シドニー・ルメット、脚本:デヴィッド・フリードキン、モートン・ファイン、原作:エドワード・ルイス・ウォーラント、撮影:ボリス・カウフマン、編集:ラルフ・ローゼンブラム、音楽:クインシー・ジョーンズ、主演:ロッド・スタイガー、1964年、116分、白黒、原題:The Pawnbrokerソル・ナザーマン(ロッド・スタイガー)は、ドイツのユダヤ人の元大学教授であったが、現在は、高架軌道が目の前を走るような、ニューヨークの貧民街で質屋を営んでいる。従業員のヘズス・オルティス(ハイメ・サンチェス)は、プエルトリコ出身で、母親と二人暮らしをしており、スペイン語で会話している。毎日、次々に、いろいろな客が質草を持ってくるが、ソルは淡々と仕事をするだけである。...
2020.02.22 15:16映画 『何がジェーンに起ったか』監督・製作:ロバート・アルドリッチ、脚本:ルーカス・ヘラー、原作:ヘンリー・ファレル、撮影:アーネスト・ホーラー、編集:マイケル・ルチアーノ、音楽:フランク・デ・ヴォール、主演:ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード、1962年、134分、白黒、原題:What Ever Happened to Baby Jane?幼い頃のジェーン・ハドソンが、子役のスターとして、舞台で歌い、踊っている。それを舞台袖から見る母と、姉のブランチ・ハドソン。その後、立場は入れ替わり、ジェーン(ベティ・デイヴィス)は成人しても、演技もできず、現在は酒浸りの生活を送っている。ブランチ(ジョーン・クロフォード)は、女優として確かなキャリアを積んでいたが、ある日、車の事故により...
2020.02.21 15:08映画 『スリ(掏摸)』監督・脚本:ロベール・ブレッソン、製作:アニー・ドルフマン、撮影:レオンス=アンリ・ビュレル、編集:レイモン・ラミー、音楽:ジャン=バティスト・リュリ、主演:マルタン・ラサール、1959年、76分、フランス映画、白黒、原題:Pickpocket邦題は、表記のように、括弧書きで<掏摸>と付けている。出演者は、ほとんどが素人である。ブレッソンは、どの作品でも、故意に、専門の俳優を使わない。後に『ラルジャン』(1983年)を撮るブレッソンの作品で、『抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より』(1956年)の次に作られた。ラストは、『ラルジャン』と似ている。貧乏な学生ミシェル(マルタン・ラサール)は、競馬場で、女のすぐ後ろに立ち、札を掏った。すぐ捕まるが、証拠が...
2020.02.20 15:03映画 『グリーンブック』監督:ピーター・ファレリー、脚本:ニック・ヴァレロンガ、ブライアン・ヘインズ・カリー、ピーター・ファレリー、撮影:ショーン・ポーター、編集:ポール・J・ドン・ヴィトー、音楽:クリス・バワーズ、主演:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、2018年、130分、原題:Green Book製作や脚本には、本作品の主役となるヴァレロンガの息子・ニック・ヴァレロンガが加わっている。タイトルの「Green Book」とは、アフリカ系の黒人が、アメリカ人旅行する際のためにと作られたガイドブック「黒人ドライバーのためのグリーン・ブック」からとられている。この小冊子は劇中にも何度か出てくる。地図以外に、黒人専用のホテルや、黒人でも食事できるレストランなどが紹介されて...
2020.02.20 14:17映画 『サスペクト -薄氷の狂気-』監督・脚本:デビッド・レイモンド、撮影:マイケル・バレット、編集:ジム・ペイジ、音楽:アレックス・ルー、音楽製作:ベンジャミン・ウォルフィッシュ、主演:ヘンリー・カビル、2018年、98分、カナダ映画、原題:Night Hunter若い女性の遺体が見つかり、刑事ウォルター(ヘンリー・カビル)らは、ようやくの思いで、容疑者と思われる男サイモン(ブレンダン・フレッチャー)を逮捕する。女性プロファイラーのレイチェル(アレクサンドラ・ダダリオ)がサイモンの取り調べに当たる。犯罪を類推する断片的な痕跡は見つかるものの、サイモンは自白せず、知的障害があるようで、言葉の意味が通じていないようだ。・・・・・・この100分近い映画は、尺を90分にしてでも、作り直したらも...
2020.02.19 15:24映画 『セブン』監督:デヴィッド・フィンチャー、脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー、製作:アーノルド・コペルソン、フィリス・カーライル、撮影:ダリウス・コンジ、編集:リチャード・フランシス=ブルース、美術:アーサー・マックス、音楽:ハワード・ショア、オープニング・クレジット:カイル・クーパー、スペシャルメイクアップ:ロブ・ボッティン、主演:ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、1995年、127分、原題:Seven(劇中の表記は Se7en )『ドラゴン・タトゥーの女』(2011年)で有名なデヴィッド・フィンチャー監督が、その人気を不動なものにした作品だ。定年を一週間後に控えた刑事ウィリアム・サマセット(モーガン・フリーマン)の元に、若い刑事デビッド・ミルズ(...
2020.02.18 15:12映画 『悪徳』監督・製作:ロバート・アルドリッチ、原作:クリフォード・オデッツ、脚本:ジェームズ・ポー、撮影:アーネスト・ラズロ、音楽:フランク・デヴォール、1955年、114分、白黒、原題:The Big Knife『特攻大作戦』(1967年)で知られるロバート・アルドリッチ監督の初期作品。本作品で、ロバート・アルドリッチは、第16回 ベネチア国際映画祭(1955年)銀獅子賞を受けている。ハリウッドの有名なスター、チャーリー・キャッスル(ジャック・パランス)は、広大な土地と邸をもち、付き人のミッキー(ニック・デニス)を相手に、庭でボクシングの練習をしている。そこに、ゴシップ週刊誌の記者である中年女性パティ(イルカ・チェイス)が押しかけ、根掘り葉掘りの質問をしている...
2020.02.17 15:27映画 『ギルティ』監督:グスタフ・モーラー、製作:リナ・フリント、脚本:グスタフ・モーラー、エミール・ナイガード・アルベルトセン、撮影:ジャスパー・J・スパニング、編集:カーラ・ルフェ、音楽:カール・コールマン、カスパー・ヘッセラーガー、主演:ヤコブ・セーダーグレン、2018年、88分、デンマーク映画、原題:Den skyldige(有罪)電話からの声と音だけで誘拐事件を解決するという異色なサスペンスであり、第34回サンダンス映画祭で観客賞を受賞している。アスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)は、警察の緊急通報指令室のオペレーターとして、マイクとPCの画面に向かい合っていた。今夜も、いくつかの電話を受けるうち、今まさに誘拐されているという女性から通報を受ける。女性の...
2020.02.17 09:02映画 『眼には眼を』監督:アンドレ・カイヤット、 脚本:アンドレ・カイヤット、バエ・カッチャ、 脚色:アンドレ・カイヤット、ピエール・ボスト、 撮影:クリスチャン・マトラ 、音楽:ルイギ 、歌:ジュリエット・グレコ、主演:クルト・ユルゲンス、1957年、113分、フランス・イタリア合作、フランス語、カラー、原題:OEIL pour OEIL砂漠に囲まれたシリアの地方都市の病院から話が始まる。フランス人の医師ヴァルテル(クルト・ユルゲンス)は、その日も大きな手術を終え、ようやく帰宅し音楽を聴いていた。すると電話が鳴り、急患だという。自分はもう寝るところなので出向けない、病院には他の医師が詰めている、と伝え、病院までの道順を伝え、電話を切った。翌朝、出勤すると、後輩の医師が言...