監督・編集:ロバート・ロドリゲス、脚本:ケヴィン・ウィリアムソン、原案:デヴィッド・ウェクター、ブルース・キンメル、製作:エリザベス・アヴェラン、ロバート・ロドリゲス、撮影:エンリケ・シャディアック、音楽:マルコ・ベルトラミ、主演:イライジャ・ウッド、ジョシュ・ハートネット、1998年、104分、原題:The Faculty
エイリアンという台詞もあるが、人間に寄生する寄生虫(パラサイト)と、生徒たちの奮闘を描いている。
オハイオ州の高校が舞台。
フットボールの練習中、スタン(ショーン・ハトシー)はコーチ(ロバート・パトリック)に怒鳴られる。ケイシー(イライジャ・ウッド)は、みんなにいじめられている。ジーク(ジョシュ・ハートネット)は、車で通い、そのトランクには、違法薬物や裏ビデオを積み、偽造免許とともに、不良生徒に売っている。
ケイシーは、ある日、グラウンドで、奇妙な虫を見つけ、生物の先生(ジョン・スチュワート)に見せる。その虫を水槽の中に入れると、動き出し、何本もの赤い糸のようなものを吐いた。その後、それは、人間に寄生する寄生虫であることがわかる。・・・・・・
寄生虫は、水分を吸うことが目的で、人間の体内に入る。入ったあとは、元通りの人間の形になるので、見分けがつかない。まさにジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』(1982年)と似ている。『物体X』での血液検査は、ここでは、ジークが自宅で作っている薬が役に立ち、その脱水作用があるか否かによって、見分けることができる。
巨大になった寄生虫は、エイリアンそっくりで、そこに『物体X』のようなタコの脚が付けられている。この外見は、監督のロドリゲスが製作に回った『プレデターズ』(2010年)に活かされている。
最後に、人間化した寄生虫の親玉を殺すと、寄生されていた生徒や教師は、みな、元の普通の人間に戻る。この敵と戦いつつ、一旦は寄生された仲間も、元通りになる。ラストは、バッドエンドとなる『物体X』と異なり、寄生虫は退治され、複数のカップル誕生を暗示するオマケつきである。
冒頭、すぐに暴力沙汰のシーンがあるのは、掴みとしていい。
本作品の特徴は、当時、人気の出始めた若い俳優と、俳優以外にもキャリアのある人物をキャスティングしている点だ。こうした内容の映画に数箇所出るだけであっても、演技慣れしている者を使っているのは、監督の人脈が広く、信用があるからだろう。
また、やや多めかなと思われた生徒や教師たちの人数が、登場回数やタイミングなどうまい具合に調整され、少しずつ結合・収斂させていくストーリー展開もよい。
こういう映画に、寄生虫に関する余りにも専門的なロジックは要らない。映画とはまず、映像による entertainment である。
すでに、このころよりCGが全盛で、巨大化した寄生虫も、ロブ・ボッティンが<美術>として作り出した『物体X』における怪物ほどの迫力はない。しかし、そこを責めてもしかたない。CGの効果をわかっているからこそ、それを使うホラーシーンは、少なめにして、且つ効果的に仕上げたのだろう。教師の指が切断されると、床に落ちたそれぞれの指が尺取り虫のように動き出したり、タコのような脚が生えた首が路上を行ったり来たりしつつ、胴の上に乗っかったりするようなシーンは、繰り返し映し過ぎると、効果半減になるのである。
いわゆるB級ホラーのレッテルを貼られる作品ではあろうが、それだからこそ、肩が凝らず、気軽に見られる。
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