アニメ映画 『名探偵コナン ゼロの執行人』

監督:立川譲、脚本:櫻井武晴、原作:青山剛昌、撮影:西山仁、編集:岡田輝満、音楽:大野克夫、主題歌:福山雅治「零 -ZERO-」、主な声の出演:高山みなみ、古谷徹、2018年、110分、東宝。


劇場版『名探偵コナン』シリーズを観るのは初めて。

これほど質の高いアニメとは思わなかった。アニメ映画の名にふさわしく、脚本・映像・音入れが完璧で、大人でも充分楽しめる。


アニメであっても、映画であり、脚本は最も重要だ。少しずつ事件が発生していくテンポ、かかわりある人物の登場のタイミング、それなりの伏線のばら撒き、コナンの推理の程度、二か所以上で進行する話の進め方と交え方、伏線の回収がよい。110分という時間も、その長さにふさわしい質と量で、慣れていないと、こうした時間配分は難しいものだ。

なぜ?という問いに対し、なぜならば、という回答が、適度なタイミングをもって、きちんと用意されている。あまりにもタメ過ぎて、ラスト近くでペラペラしゃべらせて謎を解く推理ものも、一般の映画にはたくさんあるが、タメと謎解きの内容の配置がよい。

映像は、実に豪華だ。コナンが背が低いため、コナンの目の高さで撮られるところも、観る側をコナンの心理に近づかせるためにも効果的であった。


脚本・映像・音入れ、三分野それぞれの水準が高く、全体にバランスがとれ、エンタメ性もしっかり確保されている。

特に批判する点はない。


安室がコナンに問われて答える。

「安室さんて、彼女いるの?」

「僕の恋人は、この国さ。」

なかなかしゃれたセリフだ。


日常性の地平

映画レビューを中心に、 身近な事柄から哲学的なテーマにいたるまで、 日常の視点で書いています。