監督:ルイス・ギルバート、脚本:ティム・プレイジャー、ボブ・ケレット、ルイス・ギルバート、原作:ジェームズ・ハーバート、製作:アンソニー・アンドリュース、ルイス・ギルバート、製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ、フレッド・フックス、ラルフ・カンプ、ジェフ・クリーマン、撮影:トニー・ピアース=ロバーツ、編集:ジョン・ジンプソン、音楽:デビー・ワイズマン、主演:エイダン・クイン、ケイト・ベッキンセイル、1995年、108分、イギリス映画、原題:Haunted(取り憑かれた)
デヴィッド・アッシュ(エイダン・クイン)は、幼少時、遊んでいるさなか、双子の妹ジュリエットを、誤って転倒させ、死なせてしまう。これを自責の念として持ち続けながら成長し、今では心理学の教授となっている。
霊媒や幽霊といったものを信じないデヴィッドであったが、悪霊に取り憑かれたと主張するウェッブという老婦人から手紙をもらい、サセックスにあるエドブルック邸に赴く。
エドブルックの屋敷は、城のように巨大で、建築物としても立派で、部屋がいくつもあった。しばらくそこで、ウェッブ夫人の対応をするつもりであったが、駅で出迎えたのは、クリスティーナ・マリエル(ケイト・ベッキンセイル)という美しい娘であった。・・・・・・
いかにもイギリス映画であり、しかも、設定が、1928年となっているので、イングランドの大邸宅は、ストーリーの中心となる建物として、クラシックで格調高い。
そこを舞台として、デヴィッドはさまざまな怪奇現象に出くわし、そのうち何度かの出来事には、死なせてしまったジュリエットの姿が、亡霊のように映し出される。
クリスティーナには二人の兄がいるが、三人から「ばあや」と呼ばれるウェッブ夫人を含め、それぞれが半ば常識をはずれるような行動をとる。そうした日々の中でも、「ばあや」は時折、何かに取り憑かれたように異様な症状を示す。
古い時代のイングランドを舞台としている設定のせいか、すべてにおいて釈然としない。イギリス映画にはありがちだが、上品さや高級感を交えることで、かえって、何を主張したいのか、何を描きたいのか、が判然としない。
脚本上の辻褄があまり合わず、奇怪な現象も、それを起こしている元凶や原因が追究されず、終盤で、実は、この家の人間はすべて、すでに大火で死亡していることが明らかになり、まるで狐につままれたような印象だ。
デヴィッドとクリスティーナは、駅で初めて出会ったときから恋に落ちそうな気配は出しているが、怪奇現象やデヴィッドがこの屋敷に来た目的とを絡ませていないので、まるで二つの別々の出来事が並べられて提供された感じで、感情移入もできない。
ミステリーとして、或いは、ホラーとして、ジャンルにきちんとカテゴライズされない作品はいろいろあってよいし、材料は出されているが後は観客の想像にまかせる、というのでもよい。
このいすれでもなく、エンタメ性をもたない本作品のような場合、観る側は、観終わって、「映画」を鑑賞したのか、という疑問をもたざるを得ない。
脚本が三人いるあたりも、こうした結果をもたらしているのかも知れない。
カメラは特に可もなく不可もない。場所が場所であるから、きれいな景色を撮るには、それほど苦労もしなかっただろう。
ケイト・ベッキンセイルは、当時22歳であるが、演技力があるとは思えない。
1997年に日本で公開されたときは、このタイトルであったが、VHSは原題そのままの『ホーンテッド』で発売され、DVDとBD発売時には、また元のタイトルに戻された、という。
内容が掴みにくいから、邦題を付けるときに、配給会社は悩んだであろう。『ホーンテッド』でよかったと思う。
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