映画 『IT』

監督:トミー・リー・ウォーレス、脚本:トミー・リー・ウォーレス、ローレンス・D・コーエン、原作:スティーヴン・キング『IT -イット-』(1986年)、撮影:リチャード・レイターマン、音楽:リチャード・ベリス、主演:リチャード・トーマス、ティム・リイド、1990年、187分、アメリカ映画、原題:IT


1990年のメイン州デリーで、女児を狙った殺人事件が発生する。

デリーに住んでいたマイク(ティム・リイド)は、事件現場近くで、一枚の男の子の古い写真拾う。そして、最近相次ぐ子供の殺人事件について、マイク自らが子供時代に、仲間と、IT(あいつ)と呼んでいたピエロ、ペニーワイズの仕業であると確信する。

マイクはかつての仲間ビル(リチャード・トーマス)らに電話し、27年ぶりにデリーに来るよう依頼する。・・・・・・ 


DVDでが両面ディスクになっており、表面の前半は、ビルら7人の子供たちが仲間となり、ITを死滅させることを誓うところまでが描かれ、裏面の後半では、大人になっている彼らが再会し、ITをやっつけるまでが描かれる。


元々、テレビミニシリーズとして2回に分けて放映されたもので、たしかに映画にするには、迫力という点で物足りず、時間も長過ぎる。

映像がどうのという前に、ストーリーをもっと圧縮できなかったのか、という疑問が残る。


いわゆる、子供向けのホラームービーであるが、それにしても、エンタメ性は感じられず、大胆にカットしてかまわない挿話などもそのつど描かれるため、丁寧な運びではあるものの、他方で、抑揚もメリハリもなく、映画としての盛り上がりに欠けてしまっている。


ラスト近く、いよいよITを滅ぼすあたりでも、奇妙な図体の甲殻類が出てきて、さして抵抗することもなく死んでしまう。

交差点で、ビルが妻オードラ(オリヴィア・ハッセー)と抱擁するシーンはほほえましいが、エンディングとしては締まりがない。


この映画を観て、ホラーを感じるのは、一部の子供たちだけだろう。



日常性の地平

映画レビューを中心に、 身近な事柄から哲学的なテーマにいたるまで、 日常の視点で書いています。