監督:ダリオ・アルジェント、脚本:ダリオ・アルジェント、ダリア・ニコロディ、撮影:ルチアーノ・トヴォリ、編集:フランコ・フラティチェリ、音楽:ゴブリン、ダリオ・アルジェント、主演:ジェシカ・ハーパー、アリダ・ヴァリ、ジョーン・ベネット、ウド・キア、1977年、99分、イタリア映画、英語、原題:Suspiria(ラテン語「息切れ」)
ダリア・ニコロディは、ダリオ・アルジェントの妻。
スージー・バニヨン(ジェシカ・ハーパー)は、ニューヨークからドイツにあるバレエの名門校に入学するために、空港に着いたばかりである。現地は猛烈な嵐のさなかで、ようやくタクシーを拾い、学校へと向かう。
激しい雷雨の中、到着したバレエ学院は巨大な赤い建物であった。タクシーからスージーが荷物を降ろすと、いきなり入口の扉が開き、同い年ほどの女子生徒、何か絶叫している。「秘密のドア、アイリス、青いの……。」
スージーは呼び鈴を押し、来校を告げるが、応対した声は、「帰れ!」と言う。・・・・・・
ここにも、熱血の教師ミス・タナー役で、アリダ・ヴァリを見ることができたのは驚きだ。
当時は怖い映画として評判になったようだが、時代の産物なのか、1977年(昭和52年)に製作された作品として見れば、それなりの評価はあっても、一本の映画としては、ほとんど駄作に近い。
映画は映像であることは、監督も心得ているようだが、ストーリー、カメラワークは、どんな演出をしたのか疑問が残るほど稚拙だ。
ストーリーとしては、ぐいぐいと先に引っ張る牽引力に欠け、随所に<溜め>があり過ぎ、観ていて退屈になる一方だ。
ナイフで刺すシーンなどは、もっといろいろなカット割りができるはずなのだが、実に<普通>で、文字通り、痛くも痒くもない。
美術が凝っていると評判だった。たしかに、各部屋の内部や、ラストでスージーを殺す算段をしている副校長らのいる部屋への通路など、それなりに個性的な造作だとは思うが、学院の赤い建物はじめ、部屋の壁、天井、柱など、話の根本となり何度も映される対象の張りぼて感が強く、仮に虚構の世界を造るにしても、あまりにもリアリティに欠けるのである。
音楽は、ゴブリンというロック・バンドの音入れで効果的なシーンもあるが、脚本、美術、映像に魅力のないところに、いくら音を入れて盛り上げようとしても効果がない。
手作り感をいいほうにとればおもしろいともとれるが、サスペンスであれホラーであれ、エンタメ性が魅力ある作品にはならない。
この監督には、ホラーは向いていなかったのだろう。
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