映画 『アンストッパブル・ハイウェイ』

監督:ディーン・フランシス、脚本:クライヴ・ホプキンス、撮影:カール・ロバートソン、音楽:ラファエル・メイ、主演:ゼイヴィア・サミュエル、ボブ・マーリー、2010年、91分、オーストラリア映画、原題:Road Train(連結型大型トレーラー)


あまりにも最低の映画で、つぶやきにも載せる価値なしと思うくらいだが、新作を借りたのでこきおろしておきたい。

邦題は『アンストッパブル』(2010年)にひっかけたのだろうが、全くの詐欺!

では、スピルバーグ『激突』(1971年)風かといえば、ほんの最初だけ。


ファーストシーンできれいなオーストラリアの雲が現れたと思ったら、いきなり男女のファックシーン。クレイグとニーナのファックを、隣のテントで聞いているリズは、横のマーカスにおねだりするが、マーカスは背中を向ける。声からしてクレイグは二発イッてる。


四人は南部オーストラリアを車で旅行中。途中、後ろから連結型トレーラーが爆走してきて抜かれたので、今度は抜き返すと、トレーラーは強引に追突してきて、四人の車は大破し、クレイグは右腕を骨折する。

しばらくすると、遠くに、先ほどのトレーラーが止まっているのが見えたので、マーカスとリズはようすを見に近づく。

すると、そこには誰もいず、ようすを見ているうちに、拳銃の発砲音が聞こえ、運転していたらしいサイコなおっさんが拳銃を打ちまくりながら近寄ってきたので、二人はそのトレーラーを乗っ取り、残してきた二人を拾って、人里を求め爆走する。


やがて勝手にラジオから奇妙な音楽が流れだすと、四人は居眠りを始め、リズの悲鳴でマーカスがトレーラーを停めると、その先は崖になっていて、前へは進めなかった。・・・・・・


こんな映画、誰も観ないだろうからズバリ言えば、トレーラーが実は、多数の人間の死体からの血や脂をガソリン代わりにして走っている真の主役で、それに乗ると、自動で音楽がかかり、みんな眠たくなり、気がつくと見知らぬ場所に連れてこられていて、水もない半砂漠地帯で乗ってきた者同士が争いはじめ、やがて殺しあいになり、死体をトレーラーに積むと、そこにある機械でミンチになり、それを栄養にトレーラーはまた走り出す、ということのようだ。


トレーラーの頭には、三つの野犬の頭が型どられたエンブレムが付いていて、時折、目玉の赤い野犬がイメージで挿入される。

何しろ、中学一年生が書いた作文をそのまま映画化したようなもので、突っ込みどころどころか、支離滅裂!説明なし!そんな危機的状況で、ニーナ、愛してるよ、チュッ!とか…や・め・ろ(゜□゜)


最後まで生き残るのは、やはりニーナのみ。でもトレーラーは他人に奪われ、トレーラーの累犯を予想させて終わり。

三つ頭の野犬のエンブレムが、まさに象徴なんだろうが、いくら野犬でもワンちゃんじゃね…何の説明もないし…きっと、この辺は悪魔の地域なのよ、だと?それで終わりかい?


『共喰山』と同じオーストラリア映画で、こちらはサスペンスともホラーともオカルトともつかぬ半端な映画だ。

レンタルショップでは、ホラーでなく、ミステリーのコーナーに置かれていた。


日常性の地平

映画レビューを中心に、 身近な事柄から哲学的なテーマにいたるまで、 日常の視点で書いています。