映画 『共喰山』

監督・脚本:ジョシュ・リード、主演:ゾー・タックウェル=スミス、クリュー・ボイラン、2010年、84分、オーストラリア映画、原題:PRIMAL(原始の)


若い男3人女3人が、オーストラリアの原生林を車で突き進む。目的は、古代原始人の残した壁画を見るためであった。ようやく到着すると、薄気味悪い壁画の残る巨大な岩や洞窟があった。

キャンプの準備も終わり、メルが全裸になり、近くの湖で泳いでいるうち、全身を蛭(ヒル)に噛まれてしまう。

テントに戻り、休むうち、口から血がにじみ出し、歯が欠けていくのだった。・・・・・・


冒頭に12000年前のシーンとして、原始人がひとり、壁に絵を描いているところが映され、そして現在となる。

邦題の共喰いはよく考えた。似たシチュエーションでは、若者たちが外部から襲われるのだが、ここでは、仲間のひとりが食人鬼となり、仲間を襲って食らいつくのである。最初に食人鬼となったメルは、死んだウサギや、生きたカンガルーも食べる。


新しい状況設定かどうかわからないが、まあアイデアとしてはよかった。ただ、なにぶん、論理性はほとんどなく、特に、最後まで生き残るアーニャが洞窟に逃げたとき、そこに出てくるアレは何じゃい?と呆れて、苦笑いしてしまう。


全体に、もっとグロでもよかったのではないか。これというヤマがなかったのも残念だ。

血まみれの口で犬歯をむき出しにしてうなる映像ばかりが印象的で、すべてにサラリとし過ぎている。

アーニャ役のゾー・タックウェル=スミスはけっこう魅力的な女の子である(パンフレット表紙の女性)。


日常性の地平

映画レビューを中心に、 身近な事柄から哲学的なテーマにいたるまで、 日常の視点で書いています。