監督:マーカス・スターン、脚本:マイケル・ラスムッセン、ショーン・ラスムッセン、グレン・クーパー、音楽:マーカス・スターン、主演:モニカ・キーナ、2005年、93分、原題:Long Distance
古いアパートにひとり住むニコール(モニカ・キーナ)は、恋人と別れたばかりで、手紙もなく、電話もなく、電話が鳴って出てみれば母親からで、母親は別れた恋人クリスの味方ばかりして文句ばかり言い、つまらない晩を過ごしていた。
友達のクリスティーンに電話しても不在だった。
すると電話が鳴りクリスティーンからと思って出ると、見知らぬ男からの電話で、多少応じたものの、薄気味悪いので切った。
ところが、その後も執拗に電話をしてきて、ニコールは恐怖のどん底に落とされる。
というのは、クリスティーンが住んでいるのは、電話では長距離電話になるところで、その彼女が夕べ殺されたと知るからだ。
それを伝えにきた刑事は、再度犯人から電話があれば、逆探知して犯人を逮捕すると言う。
再び犯人から電話があり、ニコールがその番号に電話すると女性が出る。勘がはたらいて、ニコールは女性に、あなたの家のなかに人殺しがいるから早く逃げて、というが女性は信じず文句を言った直後、激しい物音と悲鳴が聞こえ、ニコールはショックを受ける。
やがて、FBIの女性捜査官も現れ、ニコールを守ることになる。・・・・・・
電話から始まる映画で『私は殺される』(1948年)を思い出したが、映画のつくりとしては『私は…』に遠く及ばない。
タイトルロールの血の痕などはラストシーンにつながるのだが、冒頭からひとり暮らしの女性の日常のなかに、スリルやサスペンスをうまく持ち込み、女性捜査官とのやりとりなど、本筋でないところにも花を咲かせて、厚みのあるサイコサスペンスだなあ、と思い、たまたま見つけたにしては拾い物をしたな、と喜んだのも束の間、最後をどうもっていくかに依るな、と観ながらにして思いつつ、その心配がズバリ当たり、腰砕けになってしまった。
あまりにもよくある落ちで、そこまでがよいだけに実に惜しい。
本当に、ラスト近くまで、かなりいい線いってたのだが、終わりにきてダメになってしまった。これは多くのレビューアーも指摘している。
個人的にこういうストーリーや描きかたは好きなので、所詮B級だからそれまで、と片付けるには、何とも惜しいと思うのだ。
この腰砕けの原因は、もろに脚本でそれ以外にない。映像も凝ってはいないがふつうにいいし、主演の女優もよくがんばっている。
ストーリーの素材を互いに絡め合って、もう少し強めに伏線を出していけば、電話の声の主が実際にニコールを襲いにくることにしてもよかった。
もし、こういう結末にするならするで、最後にドカンと一発、打ち上げ花火がほしいところだ。映画制作は難しいな。
それでも、ストーリーとして辻褄も合わせてあるし、ラストに至るまでの流れは、そこそこ楽しめたのでよかった。
モニカ・キーナという女優、美人まではいかないが、映像での映りもいいし、豊満で、もっと活躍させたいな。
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