監督:カーティス・ハンソン、脚本:デニス・オニール、撮影:ロバート・エルスウィット、編集:デヴィッド・ブレナー、ジョー・ハッシング、音楽:ジェリー・ゴールドスミス、主演:メリル・ストリープ、ケヴィン・ベーコン、1994年、112分、原題:The River Wild
『ゆりかごを揺らす手』(1992年)につづく同じ監督の作品。
『ゆりかご…』の虜になったのでこれも観てみた。サスペンスでありながら、さらに『ゆりかご…』を土台にしたような佳作。
『ゆりかご…』同様またはそれ以上に、微に入り細に入りの脚本、起承転結を心得たストーリー展開、細かな伏線材料もあとですべて意味を帯びるセリフの散らばりなどが、エンタメ性を充分に盛り込まれている。
ほとんどが川下りのシーンなので、川や岸辺がみごとに映しこまれ、圧巻となる激流下りも、編集の巧みさがわかる。音楽は大御所ジェリー・ゴールドスミスであるが、映像を邪魔しないように美しい音楽や効果的な音入れができているのは、監督のコントロールが効いているためだろう。
メリル・ストリープの自然な演技、役に成りきった演技はすばらしい。前半おとなしいが中盤から力を発揮していくアウトドアに向いていない夫や、飼い犬のポジショニングもうまい。
飽きさせずにぐいぐいとしかし穏やかに引っ張っていく展開と映像で、プロの仕事とはこういうものと思わせる厚みのある作品。これはそれこそスクリーンで見るにふさわしい映画だ。
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