アニメ映画 『劇場アニメ3部作 第1部『亜人 -衝動-』』

原作:桜井画門(講談社『good! アフタヌーン』連載)、総監督:瀬下寛之、監督:安藤裕章、シリーズ構成:瀬古浩司、プロダクションデザイナー:田中直哉、キャラクターデザイナー:森山佑樹、アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ、2015年、105分、PG12、配給:東宝。


3部作構成のうちの第1部だ。

『亜人』は、亜人というネーミングもいいが、ひとりの男子高校生・永井圭が、自ら「亜人」であることを知り、警察や国家(厚生労働省)、他の亜人に追われる逃走劇としてスタートする。

1部は、亜人として捕えられた圭が、実験台から脱出するまでを描いており、新天地が映され、2部は、圭も物語も、新たな世界から再スタートすることを予想させて終わる。


とにかく、画面がみごとだ。

観ていてわかることだが、ストーリー展開とともに、いまどきのアニメやCGの技術は、すごいものだなあと思った。

もうほとんど実写映画といってもいいほどの出来ばえと言えよう。

ライトやぼかしなど、ふだんアニメを見ない者としては、そういったテクニックを見るだけでも驚きだ。


人物の描き方、特に、動きかたもいい。ほとんど内容にかかわらないところまで、行き届いた動画となっている。

人物が、ある位置からある位置に動くとき、生の人間とほとんど同じような動き方をしている。歩けば肩が揺れる、手が動く。そうした微細なところまで表現するために、何人の根気強さや執念が結集しているのだろう。


この映画は、『AKIRA』同様、プレスコ方式で作られている。声優が声を入れたあと、それに動画を合わせるのだ。それだけに手間がかかると言われているが、完成度は高くなる。

気合いの入ったサスペンスアニメだ。




日常性の地平

映画レビューを中心に、 身近な事柄から哲学的なテーマにいたるまで、 日常の視点で書いています。