監督:テイラー・ハックフォード、原作:リチャード・スターク、脚本:ジョン・J・マクラフリン、撮影:J・マイケル・ミューロ、音楽:デヴィッド・バックリー、主演:ジェイソン・ステイサム、ジェニファー・ロペス、2013年、118分、原題:Parker
時間も2時間で、今までのステイサム主演の単純なアクションものではなく、クライムアクションとして「普通の」主役を演じている。
オハイオの祭典で集まった売上金を盗むべく、メランダー(マイケル・チクリス)ら4人と組んだパーカー(ジェイソン・ステイサム)は、仕事に成功したあと、車のなかで、メランダーの次の誘いを断ったため、車外に放り出され、仲間に撃たれる。
しかし通りかかった農夫らに助けられ、命拾いし、病院に入るが、そこを抜け出して、取り分をメランダーに要求しつつ復讐を企む。
フロリダのパームビーチに移ったパーカーは、現地の不動産会社に勤めるレスリー(ジェニファー・ロペス)と知り合う。彼女の情報をきっかけに、メランダーたちが現地に住み、実は金持ちの婆さんが所有する宝石類を強奪しようとしていることがわかる。・・・・・・
相変わらず屈強な男を45歳のジェイソン・ステイサムが堂々と演じている。
今回は、アクションシーンだけがウリではなく、ストーリー性もある。アクションシーンだけでなく、人の車を失敬するようなさりげないところにも雰囲気が出ていてよい。
アクションシーンにしてもいろいろ用意されてはいるが、この映画では、パーカーは何度となく重傷を負う。不死身のパーカーと言われるだけに、最後まで生き延びるが、その満身創痍のようすは、今までのシリーズものでは、あまり見られない展開だ。
レスリー役のジェニファー・ロペスも、43歳にしてグラマラスなボディを披露するが、それはワンシーンだけで、二人の間に恋は生まれない。パーカーには、信頼できるボスの娘クレア(エマ・ブース)がいるからだ。
レスリーのセリフにもあるように、彼女は初めから望みなしの女なのだ。
レスリーは、偽名を使ったパーカーと、パームビーチの土地売買の件で知り合うのだが、離婚後11か月になる彼女は、子もなく、母親と暮らすだけで、おもしろいこともなくカネもなく、実は寂しい女なのである。
徐々にパーカーの正体がわかってくるうちに、パーカーに同情し、最後は、メランダーらの邸宅まで覗きにいく。
少なくとも、パーカーの仕事に協力するから、初めから望みなしのレスリーとしては、せめて少しでも分け前をもらいたいという。
メランダーたちを殺し、宝石を奪うと、パーカーはレスリーに、分け前を山分けにすることを約束して、去っていく。
一年後、レスリーの自宅に札束が届く。
脚本は本線がきちんと敷かれ、それぞれのシークエンスごとにエピソードは挟まり、さらにそこにエピソードが追加されていくというスタイルだ。脚本としてはよく仕込んでいる。そのため、シンプルな流れだが2時間を退屈せず観ることができる。
カメラも、アクションはもちろん、シーン切り替えも小まめだ。パームビーチに移ってからは、高級住宅街の空撮もあり、昼夜問わずきれいな光景を収めている。
冷や冷やするシーンもあり、エンタメ性もあって、それなりに楽しめる。
主役に女が絡み、そこに恋物語を並行させると、アクションとして台無しになる場合が多い。この映画では、そうせず、パーカーにはクレアがいて、ふだんはなかなか会えない距離にいるが、レスリーにうつつを抜かすということはない。パーカーはどこまでも硬派である。
レスリーの登場じたいが、そういう意味では、この映画では抑制されたキャラクターなので、それだけに、容姿やボディの存在感は必要であり、ジェニファー・ロペスの起用かなと思う。
ジェニファー・ロペスの役どころがちょっと気の毒でもあり、同情してしまう。孤独な心情を語るシーンもわずかだ。しかし、内容からして、そこを拡大するわけにもいかない。
一方、ステイサムのファンにとっては、彼のいろいろな姿や服装を見ることができ、楽しめるだろう。何しろ、ファーストシーンでは、神父様の姿で現れるのだから。
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