監督:豊島圭介、撮影:月永雄太、編集:村上雅樹、録音:小川武、音楽:遠藤浩二、ナレーション:東出昌大、2020年3月、108分、配給:GAGA
1969年(昭和44年)5月13日、東京大学駒場キャンパス900番教室で行われた、三島由紀夫と東大全共闘代表数人との討論会のもよう中心に編集されたドキュメンタリー。900番教室は現在も、講堂として残っている。当時ここにおよそ千人の学生が集まり、討論は2時間半に及んだ。
当時、テレビ局としてこれを取材していたのは唯一TBSだけであった。最近になり、その緑山スタジオで当時のフィルムが発見され、高精細映像として復元したフィルムを使ってできたのが本作品だ。当時の討論に加わっていた全共闘や、このとき聴衆のなかにいた学生で現在学者になっている者などらへのインタッビューを織り交ぜている。
2019年までYouTubeで断片的に見ることができたフィルムが、その後見られなくなった。後になり、この映画が作られることにより、それらが削除されたことを知った。
当時全共闘にいたり、或いはこれに賛同していて、現在は大学教授などになっている人物のコメントが多く挿入されていることに違和感を免れないが、他方、当時「楯の会」にいたメンバーや、討論に加わっていた全共闘メンバーからのコメントもあり、全体のバランスはとれている。
50年後に、こうしたフィルムを見られることは大変うれしいし、また、考えさせられることも多い。ここは映画レビューの場なので、思想的な議論の展開は避ける。ただ、三島の考えていたことは、ほとんど私の思想に近いということを確信できたのはよかった。
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