映画 『インシディアス 序章』

監督・脚本:リー・ワネル、製作:ジェイソン・ブラム、オーレン・ペリ、リー・ワネル、撮影:ブライアン・ピアソン、編集:ティム・アルバーソン、音楽:ジョセフ・ビシャラ、主演:ステファニー・スコット、リン・シェイ、2015年、93分、配給:フォーカス・フィーチャーズ、原題:Insidious: Chapter 3(insidious=陰険な、油断のならない)


『インシディアス』シリーズに属する作品で、第1作の前日譚という位置づけだ。冒頭に、ランバート家の怪奇現象の起きる2~3年前、と出る。『インシディアス』(2011年)、『インシディアス 第2章』(2013年)を観ていないが、本作品単体でも内容は把握できる。


高校生クイン・ブレナー(ステファニー・スコット)は、癌で死去した母リリーへの強い思いから、霊能を使って母と交信したいと思い、友人から聞いていた霊能者エリーズ・レイニア(リン・シェイ)の自宅を訪ねる。エリーズは、もうこの仕事はしないとして一旦断ったが、クインと話すうち、好意で母の霊を呼ぼうとする。しかし、危険な存在を察知したエリーズは交信をやめてしまう。さらに、クインに、一人でお母さんを呼び出そうとするのはよしなさい、と忠告する。いま呼び出すと、お母さんだけでなく、他の邪悪な霊も一緒に呼び出してしまうからだ、と伝えた。

だが、深夜、自室で、人の気配を感じたクインは、それが母であると思い込み、エリーズの忠告に従わず、呼びかけてしまう。クインは、演劇学校のオーディションに臨み、その後、外で、友人のマギー(ヘイリー・キヨコ)と話すうち、遠くから自分に手を振る人影を見つける。それが、昨晩へやで見た母の人影と思い、ぼうっとして道路の真ん中で立っていたところ、自動車にはねられ、足を複雑骨折するなどの重傷を負ってしまった。

それから3週間が経ち、自宅のベッドで療養するようになると、深夜、奇妙な現象が起き始める。・・・・・・


エリーズがランプを持って<あちらの世界>をさまようあたり、やや冗長なのと、暗めのシーンが多いのは仕方ないとして、もう少し何がどうなっているのかわかるようなくふうはしてほしかった。第1作の前日譚という位置づけのため、単体でも楽しめるものの、っもう少し起伏がほしいところだ。


逆に、本作品のよい点は、カメラワークだ。上記のとおり照明にくふうしてほしいところは何箇所かあるが、カメラの動きはスムーズで、基礎に則ってきれいに撮っている。撮影は、『ファイナル・デッドブリッジ』(Final Destination 5、2011年)を撮っているブライアン・ピアソンで、冒頭、クインがエリーズを訪れるシーンや、うまく悪魔祓いを終えたあと、エリーズが二人の除霊いかさま師の若者二人を仕事に誘うシーンあたりは、気持ちのよい撮り方をしている。クインが突然襲われたりするシーンなどの編集もよかった。


日常性の地平

映画レビューを中心に、 身近な事柄から哲学的なテーマにいたるまで、 日常の視点で書いています。