映画 『ミニミニ大作戦』(2003年)

監督:F・ゲイリー・グレイ、脚本:ドナ・パワーズ、ウェイン・パワーズ、撮影:ウォーリー・フィスター、編集:リチャード・フランシス=ブルース、クリストファー・ラウズ、美術:チャールズ・ウッド、音楽:ジョン・パウエル、主演:マーク・ウォールバーグ、シャーリーズ・セロン、2003年、111分、配給:パラマウント映画、原題:The Italian Job


『ミニミニ大作戦』(1969年)のリメイク版。 


水の都ベニスからスタート。チャーリー・クローカー(マーク・ウォールバーグ)は、某マフィアのたむろするビルの金庫にある3500万ドル相当の金塊を強奪しようと計画。強盗の罪で仮出所中のジョン・ブリジャー(ドナルド・サザーランド)を含むハンサム・ロブ(ジェイソン・ステイサム)ら犯罪プロ5人と実行する。

金塊を手に入れた6人は、冬山で再会し、互いに褒めたたえ合うが、帰り道、見知らぬ男らに襲われる。連中は、仲間の一人スティーヴ・フレゼリ(エドワード・ノートン)の手下で、スティーヴが皆を裏切ったのだった。ロブが機転を利かし、乗っている車ごと氷の張る水中に転落させる。スティーヴは湖面に向けライフルを乱射するが、皆は水中で息をこらえていたため泡も出ず、スティーヴは全員死んだものと思い、金塊をすべて持って立ち去った。やがて5人は岸に上がるが、ジョンだけは本当に死んでしまっていた。

一年後、ロサンゼルスで、チャーリーたちは、ジョンの娘で錠前屋のステラ(シャーリーズ・セロン)を金庫破りの担当に加え、金塊を奪い返す計画を立てる。ステラは迷ったが、父の仇でもあり、参加することを決意する。この計画には、3台のミニクーパーが必要であった。まずは、豪邸に一人で住んでいるスティーヴの屋敷に、テレビの修理屋を装ったステラが立ち入ることから、計画は始まった。・・・・・・


なぜクーパーが必要だったか。それは、小回りが利いて渋滞の道路をすり抜けやすいこともあるが、地下鉄構内へ下りたり、地下鉄の軌道上を走るためでもあり、ラストでは、貨車に3台の車を積めるからであった。


かつてのテレビドラマ『スパイ大作戦』の映画ヴァージョンのような感じで、コンピュータの得意な者、爆発物に詳しい者などがいて、それぞれの専門分野あってこそ、このグループによる金塊再奪還は成功する。グループに紅一点となる美人が加わる点でも似ている。

『スパイ大作戦』が、見知らぬボスからの指令で、悪い奴らを懲らしめるという勧善懲悪に基づいた物語であるのに対し、本作品は、所詮、強盗を裏切った悪いヤツから金塊を奪い返す強盗の物語だ。


アメリカ映画に多いカーアクションが、本作品ではミニクーパーでの逃走劇となっている。ヴェネティアでの強奪では、水路でのモーターボートでの追っかけ合いを見ることができる。金庫のある位置を透視により数センチ単位で割り出し、その床面に下の階から爆薬を仕掛ける。床が爆破されると、金庫の重量もあり、その真下の水路で待っている舟の上に、金庫がそのまま落下する。こうした奇想天外な方法での強奪ぶりは見ものだ。水の都ならでは、である。


ストーリー上もう少し捻っても、と思うが、あまりエピソードや伏線を濃くすると、かえって牽引力がなくなる場合もある。本作品は、次から次へとシーンを畳みかけていくことで、引っ張る力を持続できた。

気軽に見られる娯楽作品と言えよう。


日常性の地平

映画レビューを中心に、 身近な事柄から哲学的なテーマにいたるまで、 日常の視点で書いています。