監督:相米慎二、脚本:田中陽造、撮影:長沼六男、編集:山地早智子、音楽:三枝成章、主演:緒形拳、夏目雅子、佐藤浩市、1983年、135分、配給:松竹富士
小浜房次郎(緒形拳)は、青森県大間の漁港で、武骨者で頑固一徹にマグロ漁を続ける漁師で、一人娘・トキ子(夏目雅子)がいる。トキ子に言われ、恋人である依田俊一(佐藤浩市)と喫茶店で会う。俊一は、トキ子と結婚し、大間に世帯をもち、房次郎とともにマグロ漁に出たい、漁師になりたい、と告げるが、房次郎は、素人がそう簡単に漁師になれるわけではないとし、結婚にも反対する。俊一とトキ子の意志は固く、俊一は大間に越してくる。毎朝、漁に出る房次郎の船の前まで行くが、なかなか乗せてもらえず、ようやく乗せてもらっても、船酔いするだけであった。・・・・・・
海のシーンも多く、これを含め、長回しが多いが、カメラは実によく動く。クレーンを使って、定点長回しにせず、映像は凝っている。
房次郎が、縄張り意識からあまり仲の良くない北海道伊布の港に着いてからは、自分たちを置いて逃げて行ったアヤ(十朱幸代)と再会し、一方、俊一は漁師として多少成長していき、トキ子も身ごもる。
父と娘、房次郎と娘の若い夫、房次郎とアヤ、これら相互の気持ちのやりとりに、広大な海や、マグロとの必死の戦いぶりを交え、壮大なドラマに仕上がった。映画とは映像であるというあたりまえのことを、再認識させてくれる作品だ。
当時、佐藤浩市は23歳であるが、その後よりこのころの姿のほうがよい。不器用であるが、房次郎と同じく、やはり頑固一徹の若い男のありようをうまく演じている。夏目雅子は25歳であり、独身時代から悲劇のラストまでを、うまく演じ分けている。緒形拳は46歳で、何を演じてもうまい。
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