映画 『陸軍中野学校 開戦前夜』

監督:井上昭、脚本:長谷川公之、監修:日下部一郎、撮影:武田千吉郎、編集:山田弘、照明:古谷賢次、美術:上里忠男、音楽:池野成、主演:市川雷蔵、1968年3月、89分、製作・配給:大映


昭和16年11月5日から12月7日までの、まさに開戦直前の椎名次郎(市川雷蔵)ら間諜の活躍ぶりを描いている。「陸軍中野学校」シリーズのラストとなる作品。

日米が和平交渉を重ねるなか、日本側の情報を早めに手にし、本国へと伝えようとする英国側のスパイと椎名らの一騎打ちだ。


シリーズ中、しばしば女性が登場するが、本作品のシナ側スパイを演じる小山明子は、準主役級の役割を果たしている。加えて、連合国側のスパイもかなり組織的であり、日本の重要人物の私的空間にまで入り込んでいることがわかる。


椎名の使う小道具はスパイものとして今回も興味深いが。これに対し敵国側の使う小道具は、自白薬のような注射であって、その手段や陰険さにおいて、大きな隔たりがある。


あっという間に1時間半が過ぎるようなテンポよい展開で、シリーズの最後を飾るにふさわしい作品となった。


音楽が『白い巨塔』(1966年)似ているな、と思ったら、同じ池野成であった。


日常性の地平

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