原作:青山剛昌、監督・絵コンテ・演出:永岡智佳、脚本:櫻井武晴、音楽:大野克夫、声の出演:高山みなみ、池田秀一、山崎和佳奈、2021年、110分、アニメーション制作:TMS / V1 Studio
久々の登場となるキャラクターも多く、エンタメ性を十二分に堪能できる仕上がりとなった。劇場版『名探偵コナン』シリーズも本作で24作目となるが、一年をかけ、常にさまざまなトライアルと、また各部門の充実ぶりがそれまでの作品を超えていくという点で、日本を代表する劇場版アニメとしての面目を保っている。
いつものとおり、すべてにおいて、スケール感が大きい。アニメの質が高いのはいつもどおりだが、今回は特に、脚本の展開がすばらしかった。櫻井武晴が本シリーズを手掛けるのは5作目となる。超伝導リニアの開通式を中心に、そこにまつわる人々の関係や狙いを縦横に描き切り、また、メインとザブのストーリーの絡みや、サブの中での更なる枝分かれなど、脚本家としていよいよ油がのってきたと思われる。
科学的な検証やからくりなども、人物のせりふのなかで語られ、ああそうなのか、と知識を増やせるシーンも多かった。エンドロールで、芝浦工業大学・超伝導材料研究室の監修もあることを知り、すべてにおいて、精確な科学的ロジックの上に話が展開されていることがわかる。
登場キャラクターにムダがなく、テンポも早く、アクションシーンも迫力がある。劇場版というだけに、やはりこのシリーズは、映画館でこそ楽しむ作品なのだろう。
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