監督:リチャード・フライシャー、舛田利雄、深作欣二、脚本:ラリー・フォレスター、小国英雄、菊島隆三、(以下ノンクレジット:エルモ・ウィリアムズ、ミッチェル・リンドマン、黒澤明)、製作:エルモ・ウィリアムズ、撮影:チャールズ・ウィーラー、姫田真佐久、佐藤昌道、古谷伸、編集:ジェームズ・E・ニューマン、ペンブローク・J・ヘリング、井上親弥、音楽:ジェリー・ゴールドスミス、主演:山村聡、マーティン・バルサム、1970年(昭和45年)9月、「アメリカ公開版」(インターナショナル版、145分)・「日本公開版」(149分)、カラー、配給:20世紀フォックス。
「アメリカ公開版」(インターナショナル版、145分)と「日本公開版」(149分)があり、山本五十六連合艦隊司令長官(山村聰)が「出師の表」拝受のため、宮中に参内した際、木戸幸一内大臣(芥川比呂志)と語り合うシーンと、二人の炊事兵(烹炊員、渥美清と松山英太郎)が厨房で日付変更線について会話するシーンは、「アメリカ公開版」にはなく、「日本公開版」で挿入されたシーンである。
日本軍の真珠湾奇襲攻撃の模様と、それにいたるまでの日米政府や軍人幹部らの日々の動きを描いた大作だ。戦後25年という年に、日米合作映画、しかも、戦争当事国同士が協力して作り上げた作品である。製作にあたりいろいろ紆余曲折があり、多くのエピソードも生まれた。
脚本が、史実とすべて同一ということでもなく、当然、割愛した話もあろうし、追加したエピソードもあるが、映画としてはエンタメ性を盛り込みつつ、見ごたえある作品となっている。
ハワイ奇襲の際、飛行機学校のセスナが飛んでいたり、電報を届けた少年が日系人の少年であったことは事実と言われるが、B17がハワイに帰還したり、そのうちの隊長機の車輪の一方が出ず、片輪着陸するシーンは事実ではないとされる。
それにしても、膨大な予算を使ってつくられたことは、観ていてもすぐわかる。九七艦攻や零戦などの航空機は、それに似た機体を何機も作って飛ばされた。空中撮影も多く、相当のフィルムを無駄にしたに違いない。
空母「赤城」の艦橋内部でのシーンなど大半はセットであり、艦隊が洋上を進むシーン、真珠湾で戦艦が爆発したり燃え盛ったりするシーンは、巨大なプールに巨大な模型を浮かべるなどして撮られたものを、セットや屋外で撮影したものとつないでいる。
アメリカ側と日本側のシーンが交互に入り、二か所を行き来するという脚本の定番で、飽きることがない。戦争そのものより、それまでにいたる情報の真実味に対し、そのとらえかたが、一線の情報課の軍人と上層部の軍人とで異なる点や、曖昧な指示に右往左往する中堅幹部など、滑稽にも見える。間に休憩をはさみ、後半はいよいよ、日本軍の攻撃のシーンが中心となる。日本軍による飛行場攻撃のシーンは圧巻だ。
この映画で最も美しいと思われるのは、ハワイ奇襲に向け、洋上の赤城から、九七艦攻などが発艦するシーンだ。朝ぼらけの中、シルエットになった艦上から発艦する九七艦攻などが、とても美しい。
また、ジェリー・ゴールドスミスによる雅楽をヒントに作られたメインテーマや、効果的なOSTにも注目したい。
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