監督:ウィリアム・グレアム、製作:フランク・プライス、脚本:ロッド・サーリング、撮影:ウィリアム・マーガリーズ、音楽:ラロ・シフリン、主演:ジャック・ロード、ヴァン・ジョンソン、1966年、93分、カラー、アメリカ映画、原題:The Doomsday Flight(最後の審判の日の飛行)
本作品は、脚本が、テレビシリーズ『トワイライト・ゾーン』で有名なロッド・サーリングによるテレビ映画である。
音楽は、『ダーティハリー』、『燃えよドラゴン』や、テレビシリーズ『スパイ大作戦』の作曲で知られるラロ・シフリン。
本作品は、飛行機内が舞台となるという点で、『トワイライトゾーン/超次元の体験』(1983年)の第4話を想起させる。
出だしの長回しで、犯人の異様さが描写される。つまり、犯人の顔と姿は、冒頭から晒されている。この犯人が飛行機内に爆弾を仕掛け、それは、ある高度以下になると爆発するという。犯人の要求はカネであったが、常に公衆電話から電話するため、当時の警察では時間的にも逆探知ができなかった。
警察がカネを用意すると、犯人は、宅配便の若者を引き取りに行かせ、配達先も指定するが、その車が事故に遇い、現金はすべて燃えてしまう。届かないことにいらだった犯人は、とあるバーで深酒をするうち、死んでしまう。
機内では、爆発物の発見に向け、必死の捜索が行われていたが、ついに見つからずじまいであった。犯人の言っていた高度より下がらずに着陸できる空港があり、旅客機は無事、着陸できた。爆発物は、意外なところから発見された。
たしかに、ほとんどがセット撮影であることがみえみえで、スクリーンに映すほどの迫力があるわけでもないが、それでも当時の映画として、脚本や展開の速度も一定で、十分な仕上がりになっている。
犯人役のジャック・ロードの偏執的なキャラ描写もよかった。後半は、カネが届かないことにいらだった犯人と、そのバーの店主とのやりとりがあるが、そこでようやく、この男の動機らしきものが話される。
脚本に無駄がなく、尺に対しての登場人物も適切な人数で、重要度に応じて台詞や登場回数を調整していたことが功を奏した。
ラロ・シフリンによる音楽や音入れも効果的だ。冒頭、何機かの航空機が映るシーンから、サスペンスタッチの旋律が流れ、思わず引き込まれてしまう。
1966年(昭和41年)にこうしたパニック映画の小品があったことで、その後の航空機を舞台とするパニック映画が誕生していったと言えよう。
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