アニメ映画 『二ノ国』

監督:百瀬義行、製作総指揮・原案・脚本:日野晃博、原作:レベルファイブ、製作:小板橋、撮影:鯨井亮、編集:野川仁、音楽:久石譲、主題歌:須田景凪(すだ・けいな)「MOIL」、主な声の出演:山﨑賢人、新田真剣佑、アニメーション制作:オー・エル・エム、2019年、106分。


準新作で並んでいたので、単に一本のアニメとして観た。ゲームを元に作られた、とまでは知ったが、独立したひとつのアニメ作品として観るとき、出来はだいぶ貧弱だ。


ファンタスティックな内容と背景画のきれいさは評価できるのだが、ストーリーやその展開が強引だ。たとえファンタジーの要素を入れるにしても、観ている側に、何がしかの合理性を与えないと、単におとぎ話を並列つなぎしただけのメリハリない展開になる。主役三人の滑舌や抑揚が悪く、声優出身者でないことは、調べなくてもわかる。


同じ作者が描くのだから多少しかたないとしても、若いほうのキャラクターや子供の顔つきが、ほとんど同じだ。おまけに、ラストで、語りだけで、ユウとハルは同じ人間だったのだ、となるが、大方予想していただけに、そこを語りだけで終わらせるのもどうかと思う。尺は100分近くとなり、製作(映画「二ノ国」製作委員会)には大資本も入っているのだから、もっと内容で勝負すべきであった。


『アルスラーン戦記』や『NARUTO -ナルト-』が下地にあるような作りであったが、ヨキ(宮野真守)の正体がばらされるシーンなども通り一遍で、全体にエンタメ性に乏しい。


日常性の地平

映画レビューを中心に、 身近な事柄から哲学的なテーマにいたるまで、 日常の視点で書いています。